小学2年生のときみんな時計が読めてた。長い針の数字と、短い針の数字で時計を読んでた。先生に今何時ですか?って聞かれて、みんなが一斉に答えてた。でも私は分からなかった。長い針が12になるときまで、短い針が6にいくまで、その程度の認識で何時何分って理解することができなかった私は、その授業で初めて、時計の針が読めるようになった。
この時から私は薄々気付いてた。私って結構周りに興味がなくて、理解しようって感じもなくて、流されるまま生きてるんだなって。もしかしたらなんかそういう障害だったのかな?とか今になって思う。何でもかんでも習わないと分からなかった。習ってない漢字は書けないし、時計の読み方も習わないと読めなかった。みんなが鉛筆を前日の夜に削ってるのに、私は学校に行く直前に削ってた。毎月90点取らないと再テストのテストは、小学五年生になるまで1回も合格したことがなかったし、漢字テスト100門も良くて30点だった。
努力の仕方も教わらなかったから、何も出来ないままただ周りにちょっとお馬鹿な子って思われてずっと生きてた。でも私がそういうことに関心がなくて、他人からどう見られてるかも気にしてなかったから自分は馬鹿な人間でそれに対して恥ずかしいって気持ちもなかった。こんな私にもずっと友達はいたし、小学校に行きたくないって思ったことは1度もなかった。
小学五年生のとき、テストを収納しておくファイルが人より分厚いことを馬鹿にされた。再テストが多ければ多いほど、人より分厚くなるファイルは一目で私が馬鹿であることを証明した。そのとき初めて、馬鹿であることが恥ずかしかった。はじめて、勉強した。鉛筆を持って机に座って、初めて自主学習をした。結果は合格。月末に行われるあのテストって合格出来るもんなんだって理解できるのに5年もかかった。そこから、1回もテストが不合格になったことなかった。努力を方法をそこで初めて知った。
中学生になったら毎日走ってた。陸上部じゃなくてクラブチームで毎日夜遅くまで走って、帰りの車でご飯を食べてたまに行きたくないって泣きながら行った日もあった。毎日が凄く辛かった。みんなが部活動で楽しそうなのを見ると、なんで私はあそこに入れないんだろうって思ってた。部活に行けば部活の人に煙たがられる。お前はなんで部活に来てないのにリレーのメンバーなんだって、散々裏で悪口を言われた。顧問が部活としていい成績を残したいがためになんで私が散々悪口言われて泣かなきゃいけないのか分からなかった。
部活が終わって、高校受験の期間が来た。めちゃくちゃ勉強した。偏差値を上げて、治安が悪くない高校にいった。バカみたいな勉強方法だった。毎朝4時に起きて2時間勉強して、家から帰ったら22時まで塾で勉強した。ひたすらひたすら暗記して、効率悪いから量で覚えるしか無かった。でも受験した高校は全部合格した。特待も貰った。でもそれだけだった。そのときの知識は今一つも残ってなくて、それは1番自分がわかった。英検の勉強して合格した。でも今はうさぎのスペルも分からない。
そういうもんだった。ずっと、昔から何も身につけられずにここまで生きてきちゃったことを1番私が分かってた。馬鹿で、どうしようもなくあほで、難しい言葉が何わからなくて、漢字も間違えて、文法も変で、救いようのない馬鹿だった。それをお昼ご飯食べてる時におじいちゃんに全部言われた。そんなことも分からないのか。本も文字も読んでないんだろう。その頭の細胞に何も入っていないんだ。馬鹿じゃすまない。すっからかんで、勉強のための勉強しかしてこなかったんだろう。って。図星だった。私がいちばん分かってた。全部否定された気持ちになった。私は普通を装ってる全然普通じゃない人間だった。でもそれは時計が読めなかったあの教室で全部わかってた。20歳になって他人に突きつけられるのは辛かった。
20歳になる前に死んだ方がマシだと思った。なんで生きてしまったんだろう。こんなに子供で、情けなくて、人に迷惑ばかりかけてる人がのうのうと生きてしまったんだろう。もうずっと、いつ死のうかばっかり考えて、そのタイミングを伺い続けてるだけ。
生きずらそうな性格だって言われようになった。人との関わりを遮断して、人からの好意を気持ち悪がって、生きずらそうって言われる。どう考えたって、怖かった。同性だから私に話しかけたくてずっと着いてくるのが許されると思っている後輩も、ほとんど会話してないのにご飯に行きたがる人も、全部が気持ち悪いに決まってるのにどうして受け入れられるのか分からない。ずっと臆病で、人を信用出来ない。でも信用出来るわけなかった。わたしはそういう人間だから。それをいきずらそうで片付けられて悲しかった。私はずっと生きずらい人生をどうにかこうにか生きてきたのに、否定された気持ちになった。もう本当に生きる意味は無いのかも。生きずらすぎるから、ちょっともういいやって思ってしまった。一人暮らしのため荷物整理したら、さっさと死んじゃおうと思ってる。お母さんごめんねお母さん1人にしちゃうけど、もう私生きてくの辛くて無理かもしれない。