書いてる途中

葉無
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「「あけましておめ…」」

「船長!!あけましておめでとうございます!!!」

フィンとアリスが部屋に来て、新年の挨拶をしようとしてた後ろで、シュエンが大声で挨拶してきた

「あけおめ〜」

おれも、軽くだが新年の挨拶をした。海賊に年末年始なんて関係ないんだから、わざわざ言わなくてもいいだろうという気持ちは言わないでおいた

「…船長、返事が軽すぎッス」

「いつもの船長らしくていいんじゃないの」

「えぇ〜そうかな〜でも蘭子姐さんと雪香ちゃんが、「お祝いなんだから、しっかりとしなきゃダメ」って言ってたッスよ」

「蘭子と雪香は、俺達とは暮らしてた環境が違うんだから文化も違う。今からそれに慣れろって方が難しいだろ」

いつものように、3人が話し合っている姿を見ると、いつもの日常に戻ったんだなと感じる

ワノ国の一件が終わってから、色々と変わったことがある

まず今、目の前に居るシュエンの右腕とアリスの左手が動かさないように固定されている。おれが討ち入りに来た麦わらの一味の連中やCP0と戦っていた時に、敵からの攻撃で骨折をしたらしい

今は平気そうな顔をしてるが、シンディの所に居る瀬登という男から処方された痛み止めが切れると、折れた箇所が痛むのか冷や汗やアリスに至っては熱を出すこともある

「そういう話はお前らだけで居る時にしろよ。船長室に来てるってことは、おれになんか用があるんだろ?」

「あァそうでしたね、実はさっき俺の電伝虫に姉さんから連絡があって」

「その話の内容が瀬登さん達がモチつき?をやるそうです」

「モチつき?」

モチはワノ国で食べたことあるが、モチつきは見た事なかったな。突きって言ってるからその通り突いて作ってるんだろう

「お前らは、どう思う。おれは別に見た事ないこと見れるなら参加してもいいと思ってるぜ」

「私は、ワノ国で食べたおモチ美味しかったから、また食べれるのなら参加したいわ」

「僕も!!」

「俺は、姉さんと会えるし、2人が世話になってる人の手伝いもしたいので、参加するつもりです」

ここに居る3人は、参加する気満々みたいだ

怪我をしてるが楽しめることがあるのならいいだろう

「そうか。後は他のやつらに聞いて……あいつはどうなんだろうな」

「もう、かなり落ち着いたと思うので、平気だと思います」

ワノ国から出国してからの1番の変化は、あいつ……メイカだ

全員生きて、鬼ヶ島から出れたが負傷者は多かった

1番、重傷だったのはリコとリズの2人。リコは背中に大きく深く斬られて、リズも胸から腹にかけて斬られてて出血が酷かった。うちに居る船医じゃ対処しきれない傷で、このままだとゆっくり死んでいくのを待つだけだと、思っていた時に

『黒髪の兄ちゃん!!』

『おにいさん!!』

『お前達は…!』

ネグロが言った視線の先には、紫髪と深緑髪の女がこっちに、何かを持ちながらやって来ていた

来たと思ったら、いきなり

『1番危ない重傷の怪我人は、この2人だけだな』

紫髪の女がおれの方を見て言ってきた

『お、おう。そうだがお前らは』

『自己紹介は、この2人を治療してからだ』

『蘭ちゃん、女の人の方が酷いみたい』

『わかった。じゃあ鈴は男の方頼んだよ』

おれの話は、ほとんど無視して2人はリコとリズの傷の手当を始めた

『輸血は必要かい?』

うちの船医が2人に話しかけた

『輸血ってなんだ』

『輸血っていうのは…』

輸血について説明を聞いた2人は

『2人とも出血量が酷い。用意出来るのならあるだけ持ってきてくれ』

『わかった。じゃあ持ってくるよ』

『すぐに治してやるから、頑張ってくれ。痛み止めは…』

『これのことかい。蘭子ちゃん』

紺色の着物を着た、長髪の男が紫髪の女…蘭子に何か手渡していた

『!?瀬登のおっちゃん、なんでここに…』

『君達が切羽詰まった表情で、走って行くのを見てね。怪我人が居るんだろうって思って、一式持ってきたんだよ』

『私も2人の具合を見よう。女性の方が深いけど、なんとか蘭子ちゃんだけでも大丈夫そうだね。でも男性の方は雪香ちゃんだけでは、難しそうだから私は、雪香ちゃんの手伝うね』

『わかった。鈴、瀬登のおっちゃんが来たんだからいけるよな』

『大丈夫だよぉ蘭ちゃん、ねぇ瀬登のおじさんここどうすれば…』

『傷口は内臓までいってないみたいだから、ここはね…』

瀬登という男に教わりながら、深緑髪の女である雪香は、リズの治療を本格的に始めた

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『ここまで来たら、なんとか私が居なくても大丈夫そうだね』

『ありがとう。瀬登のおじさんこれなら、うち1人でも大丈夫だよぉ』

『そうかい。なら私は…』

そう言ってこちらに来たと思ったら、シュエンとアリスの前に止まった

『君達、腕見せてくれるかい?』

『えっ…』

『な、なんで…スか』

『2人とも、怪我しているんだろ。手当てするから見せてごらん』

『『はい…』』

『あんさん、この子達の船長かい?ちょっと色々固定する物が必要だから、持ってきて貰ってくれないか』

『あ、あァ、わかった』

おれは船医や怪我をしてないやつらに頼んで固定出来る板や丈夫な布等持ってきて貰った

その時、ふと思った。あいつが居ない。誰よりも怪我人を心配するあいつ…メイカが居ない

いつもならリコやリズの手を握って、励ましたりするようなやつが、なんで今このタイミングで居ないんだ

おれは気になって、リコ達は治療している蘭子達と船員に任せて、船に乗ってメイカを探した

色んな所を探したが居なかった。最後に残ってるのはあいつの自室だけだ。なんで最後にしたかは『例え、船長でもここはプライベートな所なので、勝手に入らないでくださいね!!』と言われてたからだ。

扉をノックしたが、反応はなく嫌な予感はするが、恐る恐る扉を開けた

そこには鋏で髪を所々切り、背を丸めて座ってるメイカがいた

『お、おい大丈夫か!?』

『…!触らないで!!』

あいつから聞いたことがない、荒げた声を出して言った

『どうしたんだよ…その髪だって…』

『……んですよ』

『は?なんて言っ…』

『全て全て、船長が悪いんですよ!!船長がカイドウの所に居なかったら、皆…皆こんなことにならなかった!!』

こんなにも、感情的なこいつを見たことなかった。おれは少し動揺して1歩後退りした。だが近づかなければ何もわからないから、動揺を抑えてメイカに近づいた。その時

近くにあった鋏を持って、おれに馬乗りになり鋏を向けてきた

『本当にどうしたんだよ!こんなことしてまでおれが…』

続けて言おうとしたのを泣き声混じりの声に塞がれた

メイカは大粒の涙を流しながら言った

『船長が…船長が…皆のこと傷つけたんですよ』

『船長がカイドウの所に居なかったら、リコさんリズさんはあんな怪我しなくて済んだ』

『シュエンくんもアリスちゃんだってそう』

『お兄ちゃんもラオフーくんもマオちゃんが苦しむ必要だってなかった…!!』

大粒の涙が、おれの頬を落ちる度にあいつは、これまでの不満を言う勢いでこれまで、百獣海賊団に居た頃の話をしながらおれを責めた

おれだって好きでカイドウに屈した覚えはない。利益や色々考えた上で傘下に入ったんだ。それは船員全員理解してるはずだが、それでもメイカの中では引っかかる所があったんだろう

『おれだって、好きでこんな状態にした覚えはねェよ…』

体重の軽いメイカなんてすぐどかせられる。あいつが一旦落ち着くまで待っていただけで、本当は馬乗りされた時点のどかすことは可能だった。だがそれをしたら駄目だと思ったから大人しく馬乗りにされていた

メイカのすすり泣く声が、暗く、あいつが切ったであろう髪が散らばった部屋に響く

おれはこの時、どんな言葉をかけたらいいのかわからなかった

ただ、ただあいつが落ち着くまで目の前に座って待ってやることしか出来なかった

『……ごめんなさい。船長』

数十分経ったであろう。やっと泣き止んで口を開き始めた

『本当に殺すようなやつじゃないって、わかってるから大丈夫だ』

『でも、船長を傷つけようとしたのは事実ですから』

『もし鋏で切られてもあれぐらい、2、3日で治るわ』

冗談混じりで言ったが、いつもなら笑ってくれるが今はくすりとも笑わない

なんともやりにくい空気で悩んでいたが、向こうから話しかけてきた

『わたし、初めて人を殺しちゃったんです』

それを聞いておれは驚いた。今まで敵と戦ってきたが人を殺さない程度しかやったことがないやつが人を殺したなんて

『お兄ちゃんと約束してたのに、『お前だけは母さん達の所に、行って欲しいから人殺しだけはするな』って言われてたのに…』

また大粒の涙を流しながら、震えた声で話している

『だけど、皆を守る為にいっぱい殺しちゃった』

『皆からは『助かったありがとう』って言われたけど、お兄ちゃんとの大切な約束破っちゃった』

鋏を置いて袖で目を擦りながら、人殺しについてと、フィンとの約束を破ってしまったことをずっと話していた

おれはその話を静かに聞くことしか出来なかった。今のおれに口を挟む資格なんてないんだ

『ぐすっ…船長も話していいんですよ』

いつもなら、最低でも相づちするところそれすら全くしてなかったからか、おれに話しかけてきた

あの話を聞いて何を話せばいいかなんてわからないが、とりあえずひとつ言えることはあった

『今、リコとリズ、シュエンとアリスは、蘭子と雪香と瀬登という人間が治療してくれてる。あいつらの容態見に行かないか』

『……見に行きます』

そう返答が帰ってきたことに、少し安堵しおれ達は船を降りてリコ達の様子を見に行った

まだ輸血しながら傷口を縫ってるようで、真剣に治療されていた

『リコさんリズさん…』

『金髪のお嬢ちゃん。今近くに来られたら気が散るから、来ないでくれ』

こっちを一瞬見た、蘭子に止められたメイカは、不安そうな顔でその場で見守ることしか出来なかった

『メ、メイちゃ…』

『!!』

『マオちゃん!ここに居たんだね。マオちゃんは怪我してない?』

『マオはしてないよ。ねぇ、メイちゃハグして』

『うんいいよ。おいで』

ずっと船内で待機させてたマオが、おれ達が降りる所を見て着いてきたみたいだ

何故、船内で待機させてたのは全員が集まったぐらいから全員を抱きしめて、まるで生きてるか確かめるようなことをしていたからだ

メイカの話を聞く限り、マオはこの件で死の概念を理解し、それで大切な人間がちゃんと生きてるか確認するような形になったらしい

『せんちょーも』

メイカの胸に耳を当て、心臓の音が聴こえるか確認したら次はこっちに来た

『あァ、おいで』

さっき確かめられたが、全員にやってるので何回も確認させるぐらいどうってことない

『せんちょーのおと、おおきい』

『体がデカい分、音もデカいんだろ』

適当なことを言ったがマオはその音を聴いて、落ち着いたのか眠ってしまった

もう一度船に戻り、寝てしまったマオを部屋で寝かしつけようと降ろした瞬間、おれの腕にしがみついてきた

『せんちょー、いっちゃヤダーーー!!!』

寂しくて仕方ないのか、それとも自分が離れてる時に死んでしまうんじゃないかと思ってるのか、全く離してくれなかった

こうなったらこっちが折れないと、どうにもならないので、またマオを心臓の音が聴こえるように抱っこしてベッドを背もたれにして大人しく、マオが完全に眠るのを待つことにした

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やっとマオが完全に寝たのでベッドに移して、リコ達の方に向かった

もう既に2人の傷口を縫い終わり、器具の後片付けをしていた

『ありがとうな。でもなんで2人を助けてくれた?あとお前達の名前も聞いてないから聞きたい』

『あァ、自己紹介しなきゃだな。あたいは蘭子。こっちは雪香』

雪香は蘭子に名前を呼ばれたタイミングでお辞儀してきた

『んで、あっちであんたと同じ腕が長い子と、お団子してる女の子を治療してくれたのが瀬登のおっちゃん』

『この2人を治療したかも聞いてきたな。あたい達は黒髪の兄ちゃんに借りがあったから助けた。ただそれだけだ』

黒髪の兄ちゃん…?黒髪のやつなら数名居るが借りを作るようなやつは1人しか思いつかない

『ネグロのことか?』

『名前は教えて貰ってないから知らないが黒髪長髪で背が高い兄ちゃんだったよ』

長髪で背が高いってなるとネグロしか居ない

『なんの借りだ?』

『それは言わない約束してるから言えないな。だが鈴を助けて貰ったとだけ伝えよう』

ワノ国の国民を助けたなんて、オロチが居たら大変なことになってるからな。だから言わない約束をしたんだろう

リコとリズを運んだのはネグロとアルブスだったから、その運んでる姿を2人は見ていたから、すぐに治療器具を持ってここまで来れたんだろう

『お前達には借りが出来たな。なんでもいいおれが出来る範囲で何かしてやる。何がいい』

『なら、あたい達を海に連れてってくれ。ワノ国以外の世界を見たいんだ』

思ったとは違う願いだった

『それでいいのか』

『あたいはワノ国以外のことを知りたい。ワノ国だけではわからない治療法があるのかもしれない病気を、治せるようになりたいんだ』

『う、うちも、もしワノ国に帰ってこれた時のこと考えて、皆の怪我や病気を治してあげたいんですよ〜』

2人ともワノ国に帰ってこれる前提で、話しているがまぁいい

『よし、なら2人を船医補助員として乗せよう』

『それでいいな。皆』

船員達の返答は、これで怪我人が出たとしても心強い等好印象の反応だった

『瀬登はどうするつもりだ』

『私も船に乗りますよ?』

『お前もかよ…』

『いえ、あんさんの船じゃなくて、この黒髪と白髪の方の船に乗るつもりです』

『ネグロ達の所にか!?なんでまた…』

『オレがスカウトしたんだ』

ネグロがこっちにやって来た

『今回の件のようなことは、もう無いと信じたいがもしものこと考えると、うちの船医達だけじゃ心もとないからな』

『リズの治療に対しての的確な指示、シュエンとアリスの治療を見てうちの船医になって貰うことにした』

『そ、そうか』

相変わらず色々と早い男だ。おれが知らないことすら勝手にやって解決してたりする

『とりあえず、ある程度の治療は済んだ。だから船内に運んでも大丈夫だろう。担架はあるか?』

『あるよ。少し待ってな』

2人が担架で運ばれる所を見て、どっと疲れが出てきた。大丈夫だろうと思ってもずっと気を張っていたのは事実だ

蘭子と雪香と瀬登は他に怪我人を見つけると軽傷だとしても、適切に手当てをしている

腕前を見るに戦力にならなくても、乗船して貰った方がこちらとしても助かる。無茶をしなければいい話だが、する可能性は消せないからな

怪我人全員の手当てが終わって、蘭子達は乗船する為に荷物の準備をする為に、一度家に帰って行った

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『鈴もあたいも準備が出来た。親戚にも挨拶してきたしこれで大丈夫だ』

『私も用意出来ましたので大丈夫ですよ』

『そうか。なら船に乗れ長居する程暇じゃないからな』

『はいよ』

『お、お邪魔しますぅ〜』

『初めての海楽しみだね。雪香ちゃん』

『はい!!』

呑気なことを言ってるなと思いつつワノ国を後にした

これが数日前の話だ

本当にワノ国出るまでに色々ありすぎて、少し頭がこんがらがりそうだ

まあそんなこと言ってる暇はないから、とりあえず今出来ることをやろう

「フィン、悪いがメイカにも伝えといてくれないか」

「嫌です」

「はぁ?!なんで!?」

「今メイには1番、船長が声をかけてあげなきゃいけないんですよ。俺が行ったら意味ないじゃないですか」

「それはそうだが…」

「なので、俺は全員参加すること姉さんに伝えるのと、その手伝いしてきますので、メイカには船長の口から伝えてください」

「あ、あァ、わかったよそうする」

正論だが、ここ最近の荒み具合考えると下手におれが行くと、大変そうではある。今日は機嫌がいいと嬉しいだがな…

おれはメイカの自室に行くと2回ノックした

「よぉ、起きてるか」

返答は…ない。最近おれに対してはいつもこうだから慣れている「開けるぞ」

『あっ!おはようございます!!船長!!』

「あぁ、船長おはようございます」

一瞬幻聴が聴こえたがすぐ現実に連れ戻された

前ならおれの顔見たらすぐに、笑顔で挨拶してくれてたが、今は前より少し低いトーンで話し、表情も暗くなった

これはおれだけになってるみたいで、他のやつの前では前のメイカに戻る

「今日の気分はどうだ?」

「今日は…良くも悪くも…まあまあって感じです」

「そうか。さっきフィンから聞いたんだが、今日はシンディのいる瀬登がモチつきをするらしい。お前も参加しないか」

「お手伝いが必要なら行きます」

「食べるだけでもいい。久しぶりにシンディ達に会えるんだから顔ぐらい出してやってくれ」

「……そう言うならそうします」

そう言ったメイカはヘアゴムを2本ほど取り、おれの隣を通り過ぎて部屋を出ていった

一度出来た溝はそう簡単に埋まらない。一度失った形なら特にそうだ

いつかまた前のようなあいつに戻ってくれたらなと思いながら部屋を出た

甲板に出てみると、既にシンディ達の船が着いており、シンディの船員達が色々運び入れている

「なんだそれ?」

何やら木で出来たハンマーのような物と木で出来た変わった形になった中央が半球のように削られた物が運ばれてきた

「あァ、それかい?それは餅つきに使うやつだよアプー君」

アプー君…瀬登はおれをそう呼ぶ。今までそう呼んでくるやつなんて居ても幼少期時代だから、なんか違和感を感じる

本人は自分より歳下ならそう呼ぶのが最適だと思ってるが、一応おれの傘下に居る自覚は持ってほしいところだ

「私はまだ用意しなければ、いけない物があるから蘭子ちゃんと雪香ちゃんを探しているのだけど、どこに居るか知ってるかい?」

「あいつらなら、多分向こうの部屋にでも居るだろう。それか他の船員に聞いてくれ。今日はまだあの2人に会ってないから知らないんだよ」

「そうかい。じゃあ探してくるよ」

瀬登はそう言って、おれが指差しした方向に歩いて行った

おれもたまには手伝ってやろうかなと、シンディ達の船員に話しかけようとした瞬間

「せんちょー!!」

「うおっ!?」

後ろから勢いよくなにかが飛んできた

「マオ、それやったら危ないって言ってるだろ」

飛んできたのはマオだった

「へへへ」

「へへへじゃない」

マオは死の概念を学んだ結果、色々と成長したと同時におれ含む船員全員見つけた瞬間飛ぶ勢いでくっついてくるようになった

流石に完全に傷が癒えてないやつにはしないが、特におれはされている普通にびっくりするし、骨に当たって地味に痛いからやめてほしい

「マオお前、まだ髪の毛結んで貰ってないんだな」

「さっき、おきたところだもん」

髪の毛がまだ起きたてのような少しくしゃっとした感じだった。自分で髪の毛をブラッシングするのはまだ上手く出来ないから起きた時のままの状態で部屋から出てきたんだろう

「そうか。いつもみたいにメイカにして貰うか?」

「んー…きょうはせんちょーにしてもらう」

「おれでいいのか」

「メイちゃしんどそうだから、せんちょーにしてもらう」

メイカが、今自分の気持ちをどうすればいいのかわからなくて、苦しんでいることをマオも知っているみたいだ。いつもならメイカに頼んでることを頼まないのは、マオなりの気遣いなんだろうな

シンディ達の船員達が用意してるところをよそ目に、邪魔にならない程度の所に座ってマオの髪の毛を結んでやることにした

「せんちょー、これだけでいいの?」

マオに自分の部屋からヘアゴムとヘアブラシを持って来させた

「あァ、それだけでいい。髪型はどうする」

「んーどうしよ」

いつもの2つ結びのお団子頭にすると思ったら今日は違うらしい。マオが手を組みながら考えてる間に髪の毛をブラッシングする。毎日メイカやアリスが手入れしてくれてるおかげで、髪はサラサラだ。おかげでブラッシングする時に、変に引っかかったりしなくて楽に髪を梳かせれる

「ん〜…どうしよ…あっメイちゃ!」

「ん?メイカがどうした」

マオが見てる視線に目をやるとメイカが居た

メイカもこちらに気づいたようで話しかけてきた

「マオちゃん、おはよう〜今日は船長に髪の毛結んでもらうことにしたの?」

「うん!!メイちゃしんどそうだから、せんちょーにしてもらう!!」

「……そっか、ごめんね。すぐ元気になるから安心してね」

マオにも心配されてることに少し戸惑ってるみたいだ

それだけ自分が表に今おれに対して持ってる気持ちを、表に出してることを気づいてないんだろう

メイカは少し考えた後

「船長、マオちゃんの髪の毛梳かせたらブラシ貸してください」

「もう出来てるから大丈夫だ。ほら」

「ありがとうございます」

ブラシを借りたメイカは、前より少し短くなった自分の髪を梳かし始めた。ずっと親に褒められていた髪を大切にしてたこそ、長さはあまり変われどあの時自分の髪をバラバラに切っていたことに驚いた

ある程度髪を梳かし終わったと思ったら、手に付けていたヘアゴムでおさげのような髪型に結び始めた

「…久しぶりに髪の毛結びました」

「似合ってるじゃないか」

ここ数日はずっと荒んだ状態で、比較的マシな状態の時にバラバラに切った髪を少し整える時以外は、髪のことなんて放置していたからメイカが言ったように久しぶりに髪を結んだ姿を見た

腰から下が段々のような長さになってる髪型だからか所々外側や内側に跳ねてるようなおさげになっている

「マオきめた!!いまのメイちゃみたいなかみにする!!」

ずっと悩んでたマオがメイカの髪型を見て決めたようだ

髪の毛長い方がいいがすぐ髪の毛邪魔ってしそうなやつだから、おさげは嫌がりそうだと思ったがそれがいいと言うのならそうしてやろう

「髪の毛結ぶなら、ブラシ必要ですよね。お返しします」

「ありがとう。んじゃあ、マオ動くなよ。動いたら結べないからな」

「わかった!!!」

行儀良く背筋を伸ばし膝の上に手を置いて、動かないように我慢している。マオが我慢出来てる間にもう一度髪を梳かし、おさげに結べば

「よしっ出来たぞ」

「せんちょー、マオ、メイちゃとおなじかみになったー?」

「気になるなら鏡見てこい」

「うん!わかった!!」

鏡を見に行ったマオをメイカと2人で待った。今の状態だととても気まずい雰囲気ではある

「「……」」

「な、なぁ、お前はモチつき楽しみにしてるか?おれは作るところは見た事ないから楽しみにしてるが」

「わたしは、お姉ちゃんとネグロさんに会えるならいいかなって…モチにはそこまで興味ありませんね」

「そうか…」

「「……」」

会話が続かない

前ならメイカから、ぽんぽんと話題出てきたし、おれも気遣いなく話せたから大丈夫だったが、今はそういうわけにはいかない。何を話そうか考えていたら

「みてきた!!!」

マオが帰ってきた

マオが戻って来なかったら気まずい状態が続いていたからよかった

「どうだ?メイカとお揃いだろ」

「うん!!おそろい!!うれしい!!!」

お揃いが嬉しいのか、ぴょんぴょんと飛び跳ねてる

「よかったね。マオちゃん」

「うん!!よかった!!!」

メイカは飛び跳ねるのをやめたマオを優しく撫でた

ここの関係は変わってなくて本当によかった。ここすら壊れていたら、おれに対する感情の向けられ方より辛いと思ってただろう

「「船長、メイカ、マオここに居ましたか」」

リコとリズが来た

重傷だった2人は戦闘は出来なくとも動けるようになっていた

元々、丈夫なためか3日は眠っていたがその後は平気で動いていたからおれ含めた船員全員驚いた

だが、表情に出してないだけでかなり痛むらしいから雪香が痛み止めを処方してくれた

「蘭子と雪香がメイカを呼んでました」

「何やら、大量の米を蒸すのに人手が欲しいとのことです」

「そうですか!じゃあ手伝ってきますね」

昔と同じ声のトーンで返事したメイカは手伝いをするのに、蘭子達の所に向かった

「船長はどうしますか?」

「|私《わたくし》達は怪我人ということで、大人しくしとけと釘を刺されてますので、動けないんです」

こいつらなら、普通に雑用とかやりかねないと思われてるのか先に釘を刺されてたようだ。おれもやるだろうから言っとかないと、いけないと思ってたが先に言われててよかった

「おれは…そうだなマオと待っとくかな。な?マオ」

「せんちょーと待ってる〜」

マオはおれの膝に座りながら、右手を上げだらーんとした体制で返事をした

「そうですか。じゃあ|私《わたくし》達はあちらに座ってますね」

「何かあれば、声をかけてください」

「あァ、そうする」

そう言って2人は椅子とテーブルがある、ゆったりと座れるところに行った

おれは、もう手伝いをする気分ではないからマオが邪魔しないように、構っておく係でもしておこうかな

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用意が出来てきたのか周りが少しづつ騒がしくなってきた

マオとパズルをしながら暇を潰していたら

「アプー!!!!!俺様を守れ!!!!!」

大声出しながらラオフーがおれのところに飛んできた

「うるさ。ラオフーどうしたんだよ」

「あ、あいつが、あいつが来たんだよぉ!!!」

「あいつ?あァ、あいつか」

あいつとは…

「トゥズ〜そんな逃げるなんて、悲しいじゃないですか。|私《わたくし》はトゥズと仲良くしたいだけなのよ?」

あいつとはアルブスのことだ

ムーンライト海賊団の副船長補佐兼特攻隊長でありムーンライト海賊団1の問題児でもある

こいつはワノ国でも散々、問題起こしてはネグロが解決してを繰り返していたから、よく絡まれる連中はこいつと関わりたくないと思ってるやつが多い

おれもこいつとはあまり関わりたくないと思ってるその理由は

「あら!トゥズ、アプー様と一緒にいるのなら、是非|私《わたくし》もご一緒させて欲しいですわ♡」

何故だが変に気に入られてしまったからである

出会った当初は

『少しの間ですが、よろしくお願い致しますね。楽器野郎』

『おう、よろし…えっ?お前なんて言った』

こんなやり取りをしてたぐらいなのに、今じゃこれだ

「あァ〜…マオの教育に悪いから別のところに行ってくれ」

「何故です?」

「とにかく行ってくれ。ラオフーはやるから」

「はァ!?」

「トゥズを頂けるのなら、別にいいですわ♡」

おれはくっついてきたラオフーを無理矢理引き剥がし、アルブスに渡した

アルブスは機嫌良く、ラオフーを受け取ると離れていった

全くあいつは台風のような奴だ

「おーい、アプー」

「よう」

台風が過ぎ去ったと思ったら次はシンシアとネグロが来た

「シンディにネグロ、どうした。おれになんか用か?」

「特に用があるわけではないが、ほぼ準備が出来たから、この船の船長に話しかけておかないと思ってな」

「そうか、教えてくれてありがとよ」

「あたしワノ国には行ってないから、瀬登から聞いた話でしかモチ知らないのよ。だから凄く楽しみなの!マオは楽しみ?」

パズルを真剣にしているマオに、目線が合うようにしゃがんでシンシアはマオに質問した

「マオ、おモチすき!!しろくてのびるからおもしろい!!!」

「ふふっ、そっか〜おモチに関してはマオの方が物知りね」

「ふふん!!」

マオは褒められたと思ってるのか腰に手を当て、胸を張って自信満々にしている

「準備出来たのなら、参加するかな〜」

おれは立ち上がって背伸びをした。変にまじまじと用意してるところ見て、手伝えと言われるのが面倒臭いから全く視界に入れようとしてなかったが、瀬登が言っていたモチつき用に使う道具一式が3セットと蒸した米が沢山置かれていた

「じゃあ、今から始めるよー」

「あたい達が、見本見せるから残り2つ使って皆も作ってくれ!」

瀬登と蘭子が道具の前に立つと、米を中央が半球のように削られた木の中に入れ、先端を水に浸していたハンマーのような物で中に入れた米をぐにぐにと体重をかけるように潰し始めた

「最初はこうやってある程度潰さないとつけないから、ここはしっかりやるように」

「適度に潰せてないところを集めては潰してを繰り返して、粘り気が出るまでやってね。この工程は手早くね」

「ついた時に米が飛ばないぐらいになったらつき始めの目安だよ」

「じゃあ蘭子ちゃん、私が返し手するからどんどんついてね」

「わかった。じゃあせーのっ!!」

はいはいと掛け声をかけながらモチをついていく。瀬登が蘭子がついたモチを水で濡らした手でひっくり返したりしてどんどんひと塊にしていく

「これだけ見せたら、後は出来るだろ。もち米沢山あるからじゃんじゃん作っていってくれ!」

「返し手のやり方わかんないって人は私にちゃんと聞いてね」

興味あるやつからどんどん参加していってる。その中にフィンも混じってる

「フィンー!!僕の代わりに頑張るッスよ!!」

「私の分も頑張ってー!」

「わかってるよ。怪我治ったら、次はお前らも一緒にやろうな」

フィンは骨折してる2人に代わってやるみたいだ。2人とも怪我さえしてなければやってみたかった気持ちはあったんだろうな

それにしても、フィンあいつ曲芸以外なにかと不器用だけど大丈夫か?

「せいっ!!」

「あっっっぶな!?そんな勢いよく振り落とすなよ!!おれの手まで潰す気か!!!」

「あっ…悪いそんなつもりはなかったんだ」

やっぱりダメだったか〜と思いつつ、蘭子達の方を見るとモチをひとつに丸めて粉を敷いているところに持っていっていた

「鈴、後は頼んだよ」

「わかったよ〜、じゃあメイカちゃん、餅をこのぐらいの大きさにしていこうね〜」

手本でモチをちぎって片手サイズにしていくのが見える

メイカや他の女性船員もどんどん出来上がるモチを、手際良くちぎっていっている

「マオもおてつだいするー!!!」

知らないうちにマオが向こうに行っていた

「ん〜…出来たてのお餅って凄く熱いからマオちゃんには少し難しいかも〜…」

「あついのへいきだもん!!」

「じゃあ、やってみるぅ?」

「うん!!!」

皆がやってるところ見て楽しそうと判断したのか、モチを分けるのを手伝うことにしたみたいだ

「わちちわちち」

「マオちゃん大丈夫?やっぱり船長のところで待ってても大丈夫だよ?」

「メイちゃ、だいじょうぶマオもできるもん」

「そっか、じゃあ一緒に頑張ろうね」

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小説や漫画もどき用のプロットに使ってる