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見てごらん あれがデネブ、ベガ、アルタイル。勝手に名付けて愛した星よ
パイライト周波数を合わせ乗せるきみの相槌はがねの心音
接続詞変えれば結末も変わる コピー・アンド・ペースト、されども
始まりはデュオで終わりはソロ フィナーレは客席で再会しよう
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先日詠んだ刀剣乱舞に寄せた短歌の一部を抜粋した。回想 其の157『太子の話』は自分が好きな回想のひとつで、刀剣男士とはどのような存在なのかを紐解く鍵にもなっていると思われる。
名を分かつことで存在することができる、というのは人間では通常ありえないことだ。自分はこれにロマンを感じている。名前をつけて区別したから存在する。記録によって別のものと判明したから存在している。本来、区別せずとも名前をつけずとも存在するものを可視化するのは、誰かのエゴで愛かもしれない。それこそ1人の人であったり、神であったり、猫であったり。
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以前博物館に行った際に、黄鉄鉱(パイライト)という鉱石を知った。鉄と硫黄の化合物で、メタリックでカッコイイ鉱石だ。ピクミン3のラスボスみたいだと思って、とても印象に残っている。自分が武器にするとしたら黄鉄鉱のアーマーがいい。変形して盾にも槍にもなるようなやつ。
閑話休題。刀剣乱舞には乱舞レベルというものがある。同じ刀剣男士を習合させると今まで聞けなかったボイスを聞けるようになったり、強くなったりするものだ。いつも本丸にいるのに知らないことがあるのはちょっと寂しい。本当は嫌だったんだとか、意外と楽しそうにしてるなとか、そういうのを聞けるようになるのが楽しみでありつつ、レアな刀剣ほど乱舞レベルを上げるのはハードで、ゆる〜くプレイしている自分にとっては歯がゆいものである。
歯と言えば、虫歯治療で使う銀歯がラジオの電波を拾ってしまう現象が稀にある。電源を使わずに、鉱石を用いてある一定の条件が揃うとラジオの電波を拾えるんだとか。これを『鉱石ラジオ』と呼ぶそうだ。今は歯科業界も色々変わって、そういう不思議な現象もないのかもしれない。(自分は虫歯と骨折を経験したことがないのが取り柄なので、詳しいことはわからない)
黄鉄鉱(パイライト)も鉱石ラジオに使える。なんだか乱舞レベルを上げるための習合に似ていると思った。鉄と硫黄が結合すると、不思議な電波を受信できる(こともある)。純粋な鋼で作られる刀剣と、鉄と硫黄の化合物。同じ名前と逸話、その他諸々を持つ刀剣男士が習合すると聞こえる声が増える。あ、それ嫌がってたんだ。とか。例えそれが意図しないものであっても、もっとたくさん知りたいんだ。
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1000年も前のものが今も美しい形を保ったまま残っている。そして1000年前、同じ時に作られたものが跡形もなく消えてなくなっている。0歳の赤ちゃんと100歳の老人が同じ家でご飯を食べている。でもみんな、いつか壊れたり、消えたり、死んだりする。
始まりの一振を選んだ時、ふたりでチュートリアルを進めるのがなんだか心強かった。訳もわからずこんのすけに言われた通りにするのは、きっと刀剣男士も同じだったんだと思う。でも刀剣破壊ボイスって、審神者を置いてひとりでいってしまう。人間の審神者も同じで、刀剣男士や周囲を置いてひとりで死ぬ。お別れはひとりだけど世界は終わらないから、舞台から降りたらまた会えるのかも。地獄とか物騒なことを言うひともいるけれど、この先の世界を覗き見る客席でまた会えたら。ちょっと楽しみかも、とか思ったりした。