無責任な立場で女中さんやイケメンから愛されてえ！何一つ煩わしいことはしたくない！という中年女性の欲望を叶えた作品です。
成金の孫娘である主人公は12歳で婚約者が三十路の少佐で没落貴族の長男。婚約者は身分目当てで自分に白羽の矢がたっていることが身にしみて分かっているのでひたすら弁えていて主人公やその家族、女中たちに対して紳士的に振る舞う。大正5年の名古屋が舞台なので読者はこのあと起きる関東大震災に怯えず美しい戦前の名古屋市の情景を楽しむことができる。
作画で身体つきが執拗に描写されるのは少佐のみ。読者のボリュームゾーンに的確に応えています。
中年女性向けでここまで都合の良い話ってあるか？すごいぞこれ。1巻を試し読みして感心して続き買っちゃったよ！絶妙なバランスを保った作品ですが18歳差という設定が気持ち悪い、と叩いている人もいます。不均衡さに耐えられないのでしょう。わかる……ほんの少しでも描写しくじったら大惨事ですよこの設定。
でもおそらく12歳でありたいのは生活に疲れた読者の側なんですよ……。日本のポップカルチャーにおいて女子高生は人生で一番楽しく価値があり……という風に描かれることが多いです。つまり12歳の主人公にはこの先もっと楽しいことが待っているわけです。すごいな、設定の全てが……。
作者の舵取りの腕を今後も堪能していこうと思います。
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