桜が咲き始めた。ハラハラと散り始めたら犬の狂犬病の予防接種の時期である。
今は一年中動物病院でワクチン打てるらしいけれど、私が犬を飼ってた頃はいつもこの季節だった。
役所主導で小さな公園を会場にして付近の犬たちが連れられてきて、飼い主にがっちりホールドされたその首に注射を打つ。首がいちばん痛くないんだって。
でも犬にとってもそんなの納得できないから、飼い主がとにかく犬が獣医さんを噛まないように押さえ込んでその隙間の犬尻に注射されたりしてた。
あたまのいい子はすぐ察知して公園の入り口で動かなくなって引きずってこられたりしてた。
義務だし愛なのよ。もし狂犬病が日本に入ってきたらワクチン打ってない子は確実に殺処分だからね。
うちの犬は初代はちょっと大きかったので人間が犬の体をまたいでがっちり押さえた。嫌がってたけど低い声でうなるくらいだったな。
次に飼った子は小さくてぽやーんとしてたから、抱っこしたそのあたまを人間の脇の下で挟んで固定して尻に打ってもらった。
桜を見ると思い出すよ。きみたちが嫌がった愛の行事を。