社会人になって初めて買ったキーボードは中古の「HHKB Professional2 Type-S 白/無刻印(英語配列)」だった。入社後3ヶ月目にヤフオクで定価の2/3程度で落札した。新品で買うには3万円とお高く、かつ新卒はお金がないため少しでも節約をして買ったのだ。
買った理由は隣の先輩エンジニアがHHKB Professionalを使っていたからだ。エンジニアというもの、一度はHHKBに憧れる。見た目からして普通のキーボードとは違う。キーの数が最小限に減らされ愛着が湧くようなコンパクトさ。Happy Hacking Keyboardという名前も良い。ハッピーとハッキングなんてアングラっぽくて厨二心をくすぐる。
みんな最初はとにかく良いものなんだろうということで買うのである。実際に触ってみるとキーを押した感覚が普通のキーボードとは違う。雑味がないというかタイピングをしていて心地が良い。US配列も確かこの時が初めてだった気がする。US配列はプログラミングでよく使う開き括弧と閉じ括弧が横並びであるところが使いやすい。意外とすぐ慣れたと思う。不便なのは日本語に変換するためのキーがないのでキー配列をカスタマイズしないと日本語を利用する人にとっては面倒なところくらいだった。
家でも使いたいと思ってその7ヶ月後には「Happy Hacking Keyboard Professional 2」をまたまたヤフオクで半額程度で買っていた。1年目は金がないのである。
その7年後、ようやく新品で「PFU HHKB Professional HYBRID Type-S 無刻印/墨(英語配列)」を購入した。35,000円くらい。Type-Sというのは静音モデルとなっていてキーの打鍵音が抑えられていてオフィスで利用しやすいモデルである。Bluetoohで接続できるようになりデスクの上がスッキリした。
大人になると自分が好きなものを新品で買える。
それからこれまで長いこと同キーボードを使ってきた。
数年前は自作キーボードが流行っていたので、パーツを揃えハンダ付けをして作ってみたり、最近は左右分離キーボードなんかも使ってみたりしている。
たまに気分転換でHHKBに戻ってくると、やっぱりこれだよなという感覚を思い出して、しばらく使ってまた別のキーボードを使うみたいなことをしている。
これがキーボード沼である。
なんでこの記事を書こうと思ったかというと、また中古のキーボードを買ったからである。最近は為替の影響でこれまでお手頃だった海外のキーボードが高くなってしまった。いくら大人でも何個もお高いキーボードを買えない。
歌手が自分専用のイヤーモニターを作ったり、野球選手が自分専用のグローブを作るように、キーボードも自分専用のものが必要だと感じている。
現状だとなかなか100%納得できるものを見つけられていないし、今後見つけるのも難しいのではと思っているができるだけ追求してみたい。その理想にできるだけ近づこうと頑張っているのが自作キーボード界隈の人たちだろう。基盤から作ろうという気持ちはすごい理解できる。時間が無限にできたらそこまでやってみたい。
少し時間を置いて気づいたが少年野球をやっていた頃、同じチームメンバーの両親がグローブを作っていて、仲良くさせてもらっていたので特別に自分の手の大きさを測ってグローブを作ってもらったのを思い出した。もしかしたらその経験がこのようなこだわりにつながっているのかもしれない。そもそもスポーツは道具にこだわったり道具をメンテナンスすることが大事であるところはあるが。
そんなこんなで中古のキーボードが届くのをワクワクしながらこの文章を終えます。この記事を公開するころには届いていそうだが。