年末年始の各館の準備期間は開けたし、そろそろ何か展示でも見たいなと思って日本民藝館のスケジュールを確認したら『鈴木繁男』展が始まっているそうで、どんな仕事をした人なんだろうとさらに見ていたら行き着いた所感集のページ。
柳宗悦の唯一の内弟子とのこと。随筆って書き手の立つ位置と目が固くはっきりしてるほどおもしろいんだよなあと思い起こさせる懐かしい文章だった。
私は心底「民藝」について門外の徒で、我がことながらSt.Ivesまで日本人が行ってバーナード・リーチと濱田庄司の窯を見て帰らないことって、ある?と思う。言い訳にもなっていないが結構旅程と移動をつめこんでいたため(ロンドン(空港)→オックスフォード→グラストンベリー→マラザイオン→ロンドン(空港))、明るい色の海を見て空を見て路地をぶらぶら歩きスコーンを食べお茶を飲み、なんだかぼんやりしていて『また来ればいいかあ』と思ったのだった。傲慢なような、しょうがないような。今となっては、そして時間を経るごとに、『また』について多層の感慨が折り重なっていく。なお、このあたりはファッジが名物で、とあるお店のものをおみやげに買ったのだけど、その後いろいろ食べ重ねるほどにあれは特別だったのだと知った。きめの細かさクリーミーさ淡い口どけ、あのお店を超えるものにいまだ出会えていない。
そういえば、その鈴木繁男が作製した漆絵を使った図録を都内デパートのインバウンドのお客さんが持っているのをたまたま見かけて、そうか、今は平日の民藝館も盛況だったりするのかなと思った。私はまだコロナ禍の雪解け後(とされている)みたいな東京の盛り場にいちいちびっくりしているし、また、現状をじゅうぶんには知らないままでいる。