夜の帰り道、お腹が空いてファミマに寄った。
最近のコンビニにはカット野菜にとどまらず、まるでスーパーのような面構えで野菜や卵まで売っている。少し割高なスーパーゾーンをふ〜ん、と通り過ぎようとしたら桃が目に入る。2個入り500円。流石に(地元密着型を除く)コンビニで桃は初めて。まあ、明日も作業頑張らないとだしね。たまにはね。夏だしね。
桃を冷蔵庫に入れて、忘れた頃に開けると甘い香りがふわっと溢れる。まるで自分の生活まで潤ったような感覚になる。
桃を切りながら、大学生の頃を思い出した。
同じ学科だった同級生と互いに地元の果物を取り寄せて一緒に食べよう、という日があって、私はすいか、その子は桃を持ち寄った。その子とは教室で会うと挨拶をして少し話す程度の関係性だったので、どういう流れでこの会が発足したのか全く覚えていない。
私のすいかはバカデカく、その子も箱いっぱいの桃を用意した。日を跨いだとしても2人で食べる量ではない。おなかをタプタプにしながら一緒に映画を観たような気がする。何を観たのか、何を話したのかさえも覚えていない。それでも私にはとてつもなく嬉しい記憶として残っている。
何があったとかではないのだけれど、その子とは卒業してから一度も連絡を取っていない。毎年桃を食べる度にその子のことを思い出す。元気に過ごしているだろうか。
同時にスピッツ「桃」という曲を思い出して、「永遠という戯言に溺れて」というフレーズが身体に響き続ける。