The Black Keysを聴く。なんとなくバンドの存在は知っていたし、好きなタイプの音楽なんだろうとは思っていたのに、なぜか聴かずにいた、アメリカの、ギター・ボーカルとドラマーの2人組バンド。新作を機に聴いてみたら、わりとオーソドックスなロックで、案の定好きな音楽だった。ブルースがルーツにありながら、古いR&Bのカバーからヒップホップを取り入れた曲まで、音楽性は何気に幅広い。ベックやノエル・ギャラガーと共作していたり、コラボレーションも積極的みたい。リード曲も、サビのメロディや展開がいかにもノエルって感じだった。ライブ映像も見てみたら、ドタバタと揺れ動くドラムのビートに、荒っぽいギターサウンドが絡み合うスタイルで、音源とはまた違って聴こえた。ドラムなんか、逆に音源ではあえておとなしく叩いてるのか、あるいはビートの揺れを補正してるのか、と感じるくらい。歌声も、いかにも喉で歌ってそうな感じで、線が細い。いちばん有名な曲、Lonely Boyも、洗練された音源とは全然違っていて、録音やマスタリングで整った雰囲気にまとめて時代に寄せたんだな、というのがわかる。本質は、2人の荒っぽい演奏が肝なようで、音源とのギャップがけっこうあった。それはそれとして、何より良い曲を書く才能とそれを形する力があるバンドなんだろうなと思った。良いバンドだ。
The Black Keys - On The Game
The Black Keys Live from the KROQ
Madi Diazを聴く。アメリカの女性フォークシンガー。繊細さよりは、力強くエモーショナルな印象の歌声。エレキギターはおそらくフルアコのギターを使っていて、荒っぽく歪んだ音を駆使していて、Big Thiefのエイドリアン・レンカーを連想した。前作よりは新作の方が力強さやエモーショナル具合が増していてインパクトがあった。
Madi Diaz feat. Kacey Masgraves - Don't Do Me Good
Metronomyを聴く。『Small World』という、2年前のコロナ禍によく聴いたアルバム。シンセが印象的だけど、シンセポップと呼ぶには地味で、派手なことはせず淡々と良い曲を作るタイプのバンド、だと思っている。歌詞を知らずに言うのはなんだけど、曲名からして、命や死を見つめながら、孤独から誰かと繋がろうと外へと向かうような流れを感じて、なんだかグッときてしまう。コロナ禍の思索の結果生まれた作品なのかな、などと考えたり。
Metronomy - Things will be fine
Lucy Roseを聴く。イギリスのシンガーソングライター。5年前(!)の前作で気に入って、ビルボードまでライブを見に行ったんだった。前作は、孤独感や喪失感が漂うアコースティックな作風で、それが好きだったんだけど、新作はピアノで作曲したということで、ジャズ風のポップスになっていた。予想外にアグレッシブな曲調のものもある。子供が生まれたことも音楽に影響あったのかもしれないし、とくべつ何か新しいことをしようとしなくても作風は変わっていくもんだなあ。それが自然なことなんだろう。
Lucy Rose - Could You Help Me