【体験記】浪人祭 Vagabond Festival2025のこと全部書くー台湾フェスの真髄-1-

3aaa8a
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公開:2025/11/5

 7月に1月に沖縄で開催される国際的な音楽ショーケースフェスティバルMusic Lane Festival Okinawaで出会った、浪人祭 Vagabond FestivalのRanieと遊んでいたときに、

“今年はチケット少し苦戦している…”と少し話をしていて、私はその話を受けて直近で見かけたスレッズの投稿を思い出す。

ー今年は目玉が無さすぎる。

ー拍謝少年が出ないフェスに意味がない。

…などなど、台湾の人のSNS投稿はサービスについての不満があると容赦ないな、なんて驚きながらさらに自分の思考はめぐる。

 確かに去年の座組はとんでもなく良かった。草東沒有派對 No Party For Cao Dongが出て(この段階で即日完売チケット争奪戦が確定)、前述の拍謝少年が出て、恐らくギャラ高で日本に来ることは余程のことがないと来日はないであろうYELLOW黃宣、そして私的には大好きな周穆Murky Ghostが出ことで、国外にいる私でさえ、これは行くしないと決めるには十分な座組だった。けれども、2024年、国外からチャレンジするチケット争奪は熾烈で(台湾の人気チケット争奪の過熱っぷりは東京ディズニーミラコスタのレストラン予約ぐらいだと思ってくれ)、日本人はフェス直前の台湾の大学生が期末テストのために参加出来なかった放出チケットをなんとか手に入れた人が僅かにいたぐらいだと推測する。

海外の人に向けてフェスを発信したい、の言葉と裏腹に台湾内の人気がありすぎて国外からはチケットが手に入れられない状況は、対策した方が良いと、昨年(散々迷惑をかけて)面倒をみてくれたスタッフのヴェンチと話をしていた。奇しくも、今年はチケットが直前まで販売していたので、日本・海外からのチケット購入の難易度が下がったのは怪我の功名か。

では、今年の座組はどうであろう。


 確かに(この1アーティスト目当てのファンだけでフェスチケットが全て無くなるほどの)目玉アーティストは少ないかもしれない、けれどもみんなが見たい!と思うアーティストは軒並み揃っている。そしてもう一つ、10年来、台湾インディ追いかけている私にもわからないアーティストがラインナップの半分以上いた。主催者echoとブッカーのRanieをはじめとした、スタッフ達のこだわりで音楽ファンに是非見てほしい!という想いが組み込まれまくっているように感じて、私の友達はなんて漢気あふれるチャレンジャー達なんだろうと関心する。

前述とはまた別の、スレッズの投稿には

ー知らないアーティストが多すぎて、今年はゆったり見れそう

なんて若干嫌味混じりの投稿がなされるぐらいには、現地の人にとっても戸惑いのある2025年の座組。期待と不安のどちらの意見も投稿されている状況は、去年はSNSで見なかった傾向だ。

 そして座組に関してはもう一つ。沖縄で開催される国際的な音楽ショーケースフェスティバルMusic Lane Festival Okinawaから今回ピックされたのは、インドネシアのインストバンドLittlefingersだった。当初(台湾で認知度が高いわけでもないのに何故?と)疑問に思っていだが、フェスが開催されるとすぐに(推測だが)解答に近づく。今年はインストバンドがかなり多め。言語がなくとも(=言葉がわからなくとも)、楽しめるかっこいいインストバンドを取り揃えた流れを汲んでの招聘だとすると、電子音を効果的に取り入れ、新しいスタイルに果敢にチャレンジする彼らに太鼓判を押したということなのだろうと、閃く。台湾のバンドにはない音を奏でるLittlefingersの良さに、台湾の音楽好きはどう反応するのだろう、ワクワクしてしまう。…こんな感じで要所要所に意図を感じるアーティストの集め方とこだわりを読み解こうとする楽しさ、台湾のインディーにどっぷりハマっている私にとってはかなり楽しい時間である。


 昨年のチケット即完からのフェスの世界観を徹底的に魅せるマーケティングのとは打って変わって、今年はチケットを売るための販売促進にSNSが注力している様子が公式SNSの投稿に感じ、裏で寝ずにがむしゃらにマーケティングの企画を立て走り回っている友人のyenzhenの姿が想像できる(相変わらず寝ていなさそうだな、なんて思いながら)。

そんなyenzhenとRanieが4月の台北 野人祭に続いて10月台南にもおいでよ!と友達として誘ってくれた。お誘いは純粋に嬉しい、ほんとに嬉しい。ありがたい話だけど、やはり台南はちょっと遠いなぁと怯んでしまうぐらいには桃園空港からは遠い。どうしたものかと悩んでいたときに、新たな出演者発表があった。その中に台湾のヒップホップコレクティブThat's My Shhhの名が。総勢20人以上のアーティストが一つのステージでわちゃくちゃ(方言)になって演奏し歌い、観客を煽りながら魅せる、間違いなく楽しいのが確約されるステージ。かねてから一目見ておきたいと、ずっと思っていた。これはチャンスなのでは…⁇音楽の現場が好きな人間なら共感してくれると思うけど、今、見ておかなければ、絶対後悔する!と思う瞬間ってあるはずだ(それがこの瞬間だ)、見なきゃ!!

---私は次の瞬間、yenzhenに行く!と返事をし、パートナーに台南に行く相談をしていた。

【体験記】浪人祭 Vagabond Festival2025のこと全部書くー台湾フェスの真髄-2- に続く。

協力▶笨道策展有限公司 Dustpanner Music

これを書いた人▶サクライアヤコ:沖縄本島在住。アジア圏のインディペンデントな音楽を愛聴する、コラム・エッセイスト。 Music Lane Festival Okinawa 2026応援団。Instagramにて、邦楽アーティストとアジア圏のアーティストのコラボ(コライト)曲に特化した楽曲レビューを不定期更新中

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note嫌いのひねくれっ子 アジアの音楽について発信を色々やってます