前世の傷

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公開:2024/3/22

右肩の肩甲骨付近に、生まれつき直径3cmくらいの青痣がある。

これは蒙古斑の一種だと親から聞かされていた。蒙古斑といえば大人になれば自然となくなるものだと思っていたが、すっかり成人した今でも右肩に鎮座している。

調べてみたところ、お尻以外にできた青痣は「異所性蒙古斑」といって、ほとんどの場合は自然に消えずに残るのだそうだ。レーザー治療には保険が適用されるらしい。へえ。

私の痣はふだん鏡で見えないところにあるし、肩を売りにする職業でもない(?)ので、痣があったとて生活に何ら支障はない。ちなみに押しても痛くない。

年に数回、ふと思い出すくらいだ。

そして私は、昔からその痣を勝手に「前世の傷」と自称している。

まぁただの蒙古斑とわかってしまった今、少しロマンは薄れてしまったんだけれど。気にしないことにしよう。

鎌倉時代の武士が、戦の最中に弓矢で肩を貫かれたときの傷。または、中世ヨーロッパの騎士が剣でザクっと肩を突かれた時の傷。

理由はないけど、この辺りなんじゃないかな〜とふわふわ考えている。

前世の人が戦いで頑張った勲章が、世代を超えて私へと受け継がれた。

子どもの頃からそんなイメージを持っていて、この痣をほんのちょっぴりだけ誇らしく感じたりもする。自分は何もしてないんだけどね。

痣というとネガティブな印象があるけれど、私の場合は特に気にしていないし、むしろちょっとお気に入りでもある。

上に保険適用のレーザー治療でこの痣を消すことができるらしいと書いたけれど、今のところその予定は全くない。

この青痣とともに歳を重ねていって、年に数回「私、前世の傷あるわ…」と一人でにやりとするだけだ。