息が吸えるように

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子どもの頃、ちょっとしんどめな環境にいた。

衣食住と教育はしっかり受けることができていたのでそこまでではないかもしれないけど、人に話したら一応軽く引かれはする。

特に小〜中学生の頃。この先80歳まで生きたとしても、一番辛かった時期は?と聞かれたらたぶんそう答えると思う。

家にも学校にも居場所がないと感じていて、どこにもいたくないけど逃げるところもないから、心を麻痺させながら淡々と時が流れるのを耐えていた。

あの頃のことは、いまだに完全には忘れられていない。最近だいぶ頻度は減ってきたものの、それでもたまに、当時ぎゅっと押し込めていたしんどさが今になってぶわっと膨らんで、目の前に襲いかかってくる。

たとえば、頭を洗っているときに自分はなんてダメなやつなんだとひたすら自己否定を繰り返してぐるぐるしちゃうし、寝る前に目を閉じたら昔のことを思い出して涙が出てきて、喉が詰まって、指先がびりびりして、苦しくてたまらくなる。

こういうのって、なんとなく誰かに言いづらい。親や担任のヤバかったエピソードを冗談混じりで話すことはできても、心の奥の方の、暗くてどろりとした部分までは言えない。

恋人も友達も結局は他人なので、私が面倒なことになったら離れてしまうだろうし、それぞれの生活があるからあんまり寄りかかることもできない。

だからこの言い表しようのない、解決の糸口も見えないしんどさは、自分の中でなんとかしなければとずっと一人で抱えていて、必死にそいつらを浄化できるようにコツコツ奮闘している。

本やYouTubeを活用して色々学ぶことで認知の歪みに気づいたり、漢方を飲んでみることで、ちょっとずつ緩和してきているような気はする。でもきっと、この辛さとは一生付き合っていかなければいけないんだろうな。

そんな地道な努力が実を結んできたのか、社会人になって三年ほど経った今が、一番平和で落ち着いた日々を過ごせている。

運良くブラック気質の少ない会社に入れたので、理不尽に怒鳴られたりしないし、謎の連帯責任を取らされることもない。

一人暮らしだから家の中で人の顔色を窺うことなく過ごせるし、誰かに否定されることなく趣味を楽しむこともできる。

とにかく私には居場所がある、存在していても別に問題ないんだと思える。

それだけで、なんて幸せなんだろうと感じる。

前よりだいぶ生きづらさはマシになってきたけど、でもまだ完璧主義が抜けてなくて「優等生じゃなきゃここにいてはいけない」という思考は捨てきれていない。

いつまでも過去のことを引き摺っていたくないけれど、簡単には癒せない。

どうにかこうにか息が吸えるように、もがきながら日々生きている。