実家には2匹猫がいる。
1匹はとにかく甘えん坊でおてんばな黒猫。私が帰省したときは、私の膝に乗って、父の膝に乗ってを交互に繰り返している。
今年でもう14歳になる。気づけばかなり高齢になっていたけれど、逆に少し落ちついてほしいくらいには元気でいてくれている。
そしてもう1匹は、大きな身体にもふもふなグレーの毛をした、聡明で美しい猫だった。
私が3つの時にやってきて、大人になるまで一緒に過ごした。20歳の大往生だった。
その猫を先代と呼ぶが、先代はなぜかコーヒーに強く興味を示していた。
父が飲んでいたコーヒーカップをぺろりと舐めたり、コーヒーゼリーでさえあわよくばと目を光らせていた。
※猫にとってコーヒーは毒だから、本来は絶対にあげちゃダメ。
少しくらいなら、と先代はコーヒーを舐めることをなんとなく許されていた。今そんな様子をSNSに上げたりしたらめちゃくちゃ炎上しそう。
それでも20歳まで長生きしたんだから、人間でいうタバコやアルコールみたいなものだったのだろうか。賢い猫だったから、もしかしたら危ない量は超えないように自分で制御していたのかもしれない。
マグロやカツオも好きで、普段はいわゆる猫らしい猫だっただけに不思議に思っていた。(ちなみに黒猫の方は、コーヒーはもちろんマグロなども全く興味なし。猫によって好みはさまざまなんだなあ)
先代の仏壇には、父の計らいによってコーヒーの香りがするお線香やキャンドルが備えてある。
もし虹の橋のふもとに喫茶店があったとして、そこを覗いたらきみがいてくれたらいいな。
そして先に着いているだろうお父さんと談笑しながらコーヒーを嗜んでいるところに、私も混ぜてもらおう。先代ばっかり!って黒猫ちゃんが怒って、大騒ぎにならないよう気をつけなきゃ。