家を出た瞬間、ツンと青臭い匂いがする。
早朝や雨上がりの時、特に強く香る。どうやら近くの小さな公園に咲く、シイノキの花の匂いらしい。

私の地元周辺は植木生産農家が多く、そこら中が木々の畑だった。欅の林が街道沿いに連なる風景が、延々と延々と続くような。
特に初夏に咲く栗の花は強烈な匂いで、自転車で脇を通る度に息を止めていたな、とふと思い出す。
うん。栗の花の匂いはこんなもんじゃない。


小石川植物園の温室。
中に入ると立派なカメラを下げた人が1人いて、私とその人は黙って順番に花の前でカメラを構えシャッターを切り、また静かに隣の花に移り…みたいに粛々と儀式めいた作業をする。病院の回診とか、将棋の多面指しみたい。
花ならなんでもいいわけじゃない…よね。


温室内って意外と風が吹く。大型扇風機がガンガン風を送っているからね。ゆらゆらと葉が揺れ、ピントが外れる度に、ぎぃぃぃってなって撮ってる。
何やってんだろって、思う。

以前、建築関係の事務で働いていた時、勿論躯体がメインで1番大切なんだけど、案外敷地内の植栽の選定に時間がかかることがあった。『理想』に近い木を見つけ出すのって自分達が畑へ、実際に会いに行かないと枝振りとか分からないから。
1日に何件も生産農家を回って、それでも全然『違う』ってことがあるんだよね。木を1本探し出すのに何週間もかかってたり、当然妥協はしないからなんだろうけど、設計したその人の『頭に描いていた木』を見つけ出すのって、ちょっとした奇跡なんだなと思った。


緑が鬱蒼として迷子になれそうなのがいいよね。都心なのが不思議なくらい。

にゃんこのお水。

では
通りすがりの方 温かいメッセージありがとうございました(˶ ̇ ̇˶)✉ ̖́-