「虎に翼」感想 第18週

シオリ
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7月29日 86話

朝鮮人が容疑をかけられている放火事件をとらが担当することに。この頃、朝鮮人や中国人の起こすトラブルが多かったのか、朝鮮人と聞くだけで「だからあいつらは」みたいな差別的な態度を当たり前のように取る人が多い。入倉のような裁判官でさえそういう態度だから、朝鮮人の人たちが裁判にかけられたときに受ける理不尽な扱いも想像できる。

差別的な会話を聞いて、庶務の小野さんがつらそうにしているな、これはもしかして……と思っていたら、やはり朝鮮にルーツがある人だったようで、容疑者・金子の裁判を傍聴していて、韓国語も話せるようだ。過去に婚約が破談になったこともあるという噂があるけど、それも関係しているのだろうか。

入倉の、「これは差別ではなくて現実の話をしている」みたいな態度が、差別をする人のことをよく描いているなと思った。今週もヘビーそう?美佐江も続けて出てくるようだし、気がかりなことが多い。

7月30日 87話

小野が金と恋仲であったことをぺろっとしゃべる杉田弟。それにワナワナしながらも怒りを爆発させることを堪えた高瀬くん、えらい。

ライトハウスで稲さんと涼子様がわいわいやっている様子は和みますね。優未ととらの会話も増えているようで良かった。ただ、とらって子供相手の喋り方ってあんまりしない(できない)のかな?というところがあるよね。子どもに合わせて分かりやすく、よりは、自分の考えていることを出来るだけそのまま伝えたい、というような感じ?あと、ちょっとしたことだけど、とらはあんなにつれなくされているのに、よねのことを「友達」たと思っているってわかってよかった。

裁判の方は、金に不利に進む。入倉の憶測を、関東大震災で起きたことを元に諌めるのはよかった、というか、あんなに直接的な言及があるとは思っていなくてびっくりした。映った新聞記事の見出しも結構ショッキングで……。入倉の反応からして、意識的に差別をしているというより、それが当たり前で違和感のないことだと思ってそう。だから関東大震災のことを言われたときに動揺したりっていう反応になったのかな。

ライトハウスに向かうと、入口が汚されていた。それで、涼子様や玉が嫌がらせにあっていることが判明する。それは涼子様に対するものでもあるのかもしれないし、玉が障害者であることが理由なのかもしれない。どちらにせよ許せないが……。とらの、憲法ができて〜というセリフに、本当に悔しくなるよなあ、と共感する。憲法ができてもう長い現在でさえ、未だに理念が実現できていないよ……。

弱音を吐くとらに、航一がちょっと過去ありの匂わせをして今日は終わり。なんだか今週は盛りだくさんの予感〜。

7月31日 88話

金が弟に書いた手紙が新しい証拠として提出される。そこには、部屋を焼いてしまったことを謝る一文が書かれていたけど、違和感を持つとら。悩みに悩んで、小野に韓国語を教えてもらったりしたけど、すっきりせず……。疲れ果てて帰ったら、優未も疲れて寝ていて、晩ごはんはおかしにしよう!と盛り上がる。どんどん親子の間の距離が縮まっていて、微笑ましい。優未はドライな性格だけど、優しいところはとらや優三さんのいいところを受け継いでいるようだ。

手紙について悩んだ結果、とらは香子に来てもらうことに。そこで、「燃やす」という単語を使った慣用句が誤訳され、「部屋を燃やす」と受け取られていたことがわかった。誤訳に反論しなかった金について、諦めてしまったのでは、と語る香子も、自分の境遇と金の置かれている差別的な境遇を重ね合わせていて、やはり女子部で学んでいたときも、子どもが産まれて日本で暮らすようになってからも、香子は差別にあいつらい思いをしているんだということがわかる。香子の置かれていた状況は詳しくは描かれなかったけど、今週金のことが描かれる中で香子のことにも視聴者が思いを馳せられるようになっているのだろうか。

8月1日 89話

訪ねてきた小野は、香子と汐見になぜ朝鮮人と日本人が結婚できたのか聞く。それに対する答えは「好きになった人が日本人だった/朝鮮人だった」というシンプルなもの。それ以上の答えで何を求めているか自分でも整理できてないんだけど、あっさりしすぎてないか?という気はした。あの時代、恋愛結婚がそんなに一般的でもなかったと思うけど、朝鮮人と日本人の組み合わせで結婚した人たちって恋愛結婚が多かったんだろうか?そこも気になるところだった。

放火事件に関しては、無罪となる。裁判中の入倉の様子を見て、とらは食事に誘うけど、入倉は自分が生まれていなかった頃の出来事のせいで朝鮮人から敵だとみなされることに不満を感じているみたい。すごい現代にも通じる考え方だよね。敵意を向けられて嫌な気持ちになるのは仕方ないけど、踏みとどまれているから入倉はえらい、みたいなことをとらは言っていたけど、加害の歴史があったことに言及せずに我慢する側の努力の問題にしてしまっていいのか?とは思った。また、杉田兄の平等は学がある人間か余裕がある人間が考えるものだみたいな言い方も今っぽかったな。確かに当時憲法が変わったことを意識していた人がどれくらいいたのかは分からないし、そんな事を考えている余裕もなく、アメリカや朝鮮、中国などを敵国として憎み続けている人もいただろう。空襲で家族を亡くしている杉田兄が言うとたしかにそうかも、とも思う。でもそのことを、障害者として平等の権利を得られるようになった玉の前で言っちゃっていいのか?と思ったりもした。玉にとっては余裕があるとか学があるとか関係なく、平等というのは生活に関わる本当に基本的なもののはずなので。

8月2日 90話

なぜ航一が謝るのか、その過去が明かされる。総力戦研究所で机上戦を繰り返し、敗戦することがわかっていたのに戦争を止められなかったことへの罪悪感を感じていたのだった。国の中枢に近いところにいたのに、何もできなかった無力感はすごいものだったろう。そしてその結果人がたくさん死んだ。

杉田兄は、航一を攻めたところで娘や孫は帰ってこないから、と航一を慰める。たしかにそうなんだけど、納得はできないよね。帰ってこない、ということ自体が後悔なんだから。頭を冷やすと言って外に出ていった航一を追いかけたとらは、航一の背負う責任は私達全員が背負うべきものだから分けて欲しい、と言う。今まで戦争の描写が、何かわからないけど迫ってきた天災みたいなもの、としか描かれてなくて、とらが加害者としても被害者としても何も関与してないみたいな感じで終わるの?と思っていたので、戦争責任を皆で負うべきという考え方がとらにあることに驚いた。

しかしすごい距離を縮める行動だな〜ととらを見ていて思った。たらし……この場面で言うことではないし、誰にでも寄り添うところがとらの基本的な性格であることは承知であるが……。来週は航一との関係が動くのかな?美佐江が怖すぎるんだけど。優未の新しいキャストさんも発表されて、楽しみ!

@510r1
のんびり、日常。BLとぬいぐるみ。晩ごはんのこととペットのことも。