世界でいちばん透きとおった物語/杉井光 感想

5ho1ymt
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内容にはできるだけ触れずに書いている。だけど、この小説を読んだことないならこの記事は読まないでほしい。理由はこの本を読む人はできるだけなんの情報も仕入れずに読んでほしいと思ったからだ。読んでみて思うのは、できるのなら帯のあおりとかも読まずに何の先入観も持たずに読んでほしい本だった。だから読んでない人はこの記事読まないでね。

3年半ぶりにちゃんと小説を読んだ。高専に入ってスマホを手にしてから活字に触れる機会がぐんと減り、2年の夏休みに買って部活に通うときに電車で読もうとしていた伊坂幸太郎のマリアビートル(積読中)以来、初めて小説を買って読んだ。久々に本を読む機会をくれたチャハーンと石部ちゃんに感謝。

昔から本が好きだったが、感想を書くのが嫌いだった。なぜなら感想を書く=読書感想文という強制されて宿題として書くという形だったからだ。今考えてみると読書感想文が嫌いだったのは、

自分の好きな本の感想を書けず、課題図書から書いていたこと

提出して他人に見せることを考えて読書感想文というフォーマットで、無意識に制限されて書いていたこと

が原因な気がする。この「しずかなインターネット」という形式で文を書き始めたばかりだが、読まれることを気にしなくなった自分 が何も考えずに文を書き連ねていくにはとても合った環境だと感じている。

久々に本を読んで思うのは、僕が本が好きだったのは、読後感が好きというのが8割は占めていたのではないか。大どんでん返しのミステリも、中一のときに読んで号泣したファンタジーのナルニア国物語(ミステリ以外を読んだ記憶がこれくらいしかない)も、読み終わった後に伏線や好きな部分を探して2,3度読み返したことを思い出した。物語の終盤から鼓動がはやくなり、(これを書いている現在もだが)興奮してなかなか寝付けない。この興奮をただ頭の中で処理して次の朝にはその本が面白かったという記憶だけ抱えて現在まで生きてきたが、その興奮状態を文字に起こしてこの記事に書くのはめちゃいいのでは?興奮を整理することも、後から見返すこともできるし。

これから本を読んだら感想をこうやって書いていきたい。

ここまでこのサイトの良さに気づいたということしか書いてなかった。こっからやっと感想です。

世界でいちばん透きとおった物語/杉井光

この本を知ったのはガジェット系youtuberが買ってよかったものランキングの動画で紹介していたことがきっかけで、なぜか興味を持ってamazonのリストに入れていた。

帯にもあるが、電子書籍化ができない、文庫だからこそ(ハードカバーでもなく)体験できる小説だった。

ミステリを読むとき、僕は犯人とかトリックをめちゃ考えながら読むが、当たった記憶は全くない。だけどこの本に関して、割と早い段階でこの小説の仕組みに気づけたことがめちゃうれしかった。途中で気づくことができた優越感を初めて感じて思ったが、ミステリに関しては読者はできるだけ鈍感で、何も気づかない方がより本を楽しめるんじゃないかな。

もちろん気づいた上でも3年以上本から離れていた僕にまた本を読む楽しさを再認識させて、再び本の沼に引きずり込まれた気がするほどには面白かった。だけど一つの本に時間を使って、何度も読み返して楽しむことができる人は鈍感な方がいいんじゃなかろうか

色々書いてきて急に話変わるけどこの本書いた人やばすぎ!!!!

作中でも謝辞でも触れられているけど、この本を書こうと思ったこと、実際に書き上げたことが信じられない。小説を書くことを考えたことはなかったけど、ただ物語を作って小説を書くだけのことでもすごいのに、この制約の中でこんなに面白い小説を書いたことが考えられない。

だめだ、きれいに文書こうとここまで来たけど人に見せるつもりで推敲しながらだと毎回感想書くモチベなくなるわ。

人に見せる前提じゃなく適当に思ったこと書いていくほうがいいな、

3年半ぶりに本を読んだこと、その読んだ本が「世界でいちばん透きとおった物語」だったこと、このタイミングでこの「しずかなインターネット」の存在を知らされて文を書くきっかけができたこと、

これが全部奇跡的に同時に起こったことがすごい。

この本を読んで自分も、感想っていう形式でも何でもいいから文字を書きたくなった。そのタイミングでこのサイトを知ったこと、書くきっかけが与えられた。まじで奇跡的に思える。

さっき文を書くことで興奮を整理できる、みたいに書いたけどダメだな、書いてると興奮が倍増して鼓動が収まらんわ。

この記事の後半自分以外が読んで何を言ってるか理解できてるのか疑問だけどここで終わろう

とにかくこの本めっちゃ面白かった!!!!