全てを守りたいというわがままが許されるのは(本誌ネタバレ含む)

8月
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公開:2024/6/3

 

本誌1116話の感想と合わせるとまた激長レシートになりそうだったので別々に書いてます。なんかしばらく分割で書きそう。

カクのあの表情は一体なんなんですか

連続してくるとは予想してなくてびっくり。ちょこっと進展あるかなぁと思ったら爆速に進むじゃないですか。休ませて、気持ちを。

タイトルにもある「葛藤」。多分主にステューシーのことを指してるんだと思うけど、個人的にカクにもスポットが当たってる気がする。というより、エッグヘッド編に登場するほとんどの人がこの「葛藤」に苦しめられてるよなぁって印象が強い。黄猿に然り、ルッチに然り。その葛藤に苦しんだ末、見つけた答えがその人物の今後を左右するきっかけになっていくんじゃないかなと。

個人的にステューシーが苦悩してるシーン、カクたちに対する皮肉にも見えてしまった。クローンとして作られたステューシーは、自分が人間じゃなくて複製された存在だってことをコンプレックスに感じていたり、家族の繋がりに対して憧れを抱いてる様子が描かれてる。それとは真逆で、幼少期の頃から任務のために淡々と感情を殺しつつ、政府専用の機械として生きてきたカクたち。エジソンが言っていたように、「葛藤」とは人間の証であって、本物の人間であるカクやルッチよりも、矛盾してると分かっていながら大切な人たちを守りたいと苦悩するステューシーの方がよっぽど人間らしく見えるよなぁっていうとんだ皮肉。対比すごいなこれって思いながら読んでた。

カクにも、今までの人生で全く苦悩がなかったとは思ってないし、むしろそれを表に出しても許される環境じゃなかったから必死に気持ちを飲み込んでた可能性もあるわけで。特に感情を押し殺してそうな所と言えば……やっぱり1番先に思い浮かんだのがパウリーたちなんだよね……W7編読み直しても、カクだけがルルたちに手を加えてる描写が描かれてなくて。単純に尾田先生が描いてなかっただけかもしれないけど、ゾロとの戦いで実は未練が残ってるのは明らかだったし、パウリーたちに対してどこか後ろめたい気持ちがあるんだなって。パウリーの「仲間だと思ってた!」って台詞も、ステューシーが自分たちを裏切っても友だちだと思ってくれたことに繋がっていそうだし、同時にそんな友だちを裏切らなきゃいけなくなってしまった辛さもカクからしたら痛いほどに理解出来てしまうのかもしれない。そんな「大切なもの全てを守りたい」という人間らしいわがままな気持ちと優しさを見て、内心少しでも羨ましいと思ってたら面白いよね。任務優先が1番大事だから、それ以外で守りたいものがあっても任務と無関係な感情が許されるような環境じゃなかったし、それを口に出しても許されるステューシーを見てカクはどう感じたんだろう。ステューシーの優しさに情が湧いたり、羨ましいと思ったり、カクもカクで感情がどんどん揺さぶられて葛藤してそうだよね。言えないだけで、君も十分人間だよ。

前の記事でもチラッと書いたんですけど、カクの好きなところが最近本誌で存分に描かれててすごく嬉しい。諜報員としての意識が足りないし、本来なら任務優先だから情に流されてしまう時点でクビ切り案件なんだけど、人間として大事な部分は完全に捨てきれてない中途半端で不完全なところがすごく人間らしくて好きなんですよね。若さ故の未熟さがありつつ、すごく真面目で正直なところがカクの良いところだと思う。W7での潜入任務でも、船の査定を真面目にこなすところとかね。今思い返せば、今後同じように任務で船大工のお仕事が出来るかなんて分からないから、悔いが残らないように最後まで真面目に船大工としての責務を全うしたのかなって解釈してみたり。そんな真面目な人物だからこそ、どんどん死亡フラグが溜まりつつあるなぁと感じていて、正直次号で急に退場シーンきてもおかしくない状況だと思ってる。

せめて本人が後悔しない選択をしてくれたらそれだけでも拍手喝采なんだけど……CPも世界政府の言いなりになるしかない、自由を奪われてきた被害者だと思ってるので……想いも行動も、誰かに縛られてもいい権利なんてないし、人間もクローンも魚人も関係なく平等に気持ちを言葉にする自由があるんだから、言えなかった分どんどんわがまま言っちゃえ〜!と思う私でした。幸あれ───。

追記:カクたちを友だちと思って接してくれてたステューシー、迎撃システムのあのくだりはルッチたちを抹殺するのが目的ではなくて、単純にじゃれ合いのつもりでやってた説が出てきて声出して笑ってる。Sっ気のあるステューシー姉さん好きすぎる。カクは変わらず不遇で草。

 


@7_aug
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