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7molの日記
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朝8時。目を開けると真っ白な光が飛び込んできて、昨日電気を消さずに寝たことを思い出しながら寝返りを打つ。昨晩ホラーゲームを見て泣き腫らしたせいか目の奥が微かに痛んで、隣で寝ていたカワウソのぬいぐるみに「おはよう」と呟いた。返事がないことがもどかしい。最近脳内をぐるぐると渦巻いている悩みとか心配事とかに頭まで痛んできて、えーい!と布団を放り投げる。少しひんやりする朝の空気が心地よくて、気付けば再び意識を手放していた。

数時間経って、企業からの着信で目が覚めた。ぼんやりと覚醒しない頭で画面を眺めていたら音が途切れて、留守番電話が入る。「金曜日の昼ならお話できると伺ったんですが」、明らかに不機嫌そうな大人の声が聞こえて、この一言で就活のすべてが嫌になり布団に突っ伏した。約束を破ったわたしが明らかに悪いことは分かっていても、知らない企業様のありがたいお話に裂けるだけの体力はわたしにはなくて、かといって着拒するだけの度胸もなく、くねくねしながら曖昧に生きている。わたしの顎の下でカワウソの背中が若干潰れていて、跡になる前に抱き寄せたところで、再びiPhoneがけたたましい音を上げた。なんなんだと思って通話ボタンを押したものの、今度は違う企業からの電話だった。インターンがどうちゃら、案内がこうちゃら、半分寝ながら聞き流していたら通話が終わっていて、ああ素敵な寝落ち通話になっちゃったなと思いながら支度をする。

帰宅。同期の素敵な企画に出れて、就活講座を仮病で休んで、ラーメンを食べて、カラオケに行った。本当に好き勝手やった1日だったなとぼんやり天井を見上げていて、合宿が終わったあたりから独りでいるときぽっかり心の穴が空いたみたいな気分になっていることに、薄々気が付き始めている。こんなに家って静かだったっけ? 気分を上げようと思って適当にApple MUSICを開くと、LEGO BIG MORLの『あなたがいればいいのに』が流れてきてあんまり気分は乗らなかった。失恋の曲。失恋してもいないくせ女々しい邦ロックばかり聴いているせいでこうなってしまう。でも、あなたとまでは思わないんだけれど、寝る時に「誰かがいればいいのに」と思うことは数知れない。実家に帰ろうかな。来週から授業が始まるらしい。ずとまよの『お勉強しといてよ』が流れて項垂れる。あーあ、1ヶ月で就活投げ出しちゃったな。でもまあなんとかなるよね、なんとかなるって言ってください。