9

7molの日記
·

「結婚をしたくないと思う学生が増えています」みたいな記事を見ると、ほっとする。そういう記事の信憑性なんてたかが知れてるとは思うけれど、自分は異端ではないのだと、確認できる時間が心地好い。少なくともまだ20代に入ったばかりの雛が、将来誰かと添い遂げるかどうかなんてことを、急いて決めなくてもよいのにとずっと思っているのだ。しかしそんなわたしの考えとは裏腹に、周りの人間はもう結婚に向けて動きだしてしまっている。

昨年の夏、初めて友人が結婚した。友人とはいってもネットで知り合った歳上のお絵描き仲間だったんだけれど、こうも早く知り合いから結婚報告が出るのかと驚いた記憶がある。大切な友人が幸せな道を歩んでくれたことは本当に喜ばしいことだったのだが、翻ってわたしは、と考えたときになんだか己の姿が酷く情けなく見えた。

高校のとき、何かの記念で友人からちょっと良い皿を貰ったことがある。ろくに自炊もしないので実家に置きっぱなしにしているのだが、帰省したとき母親に「その皿、結婚のときに持っていけばいいじゃないの」と言われてどきりとした。もう結婚が身近なものとして存在するのだとまざまざと認識させられてしまった。正直なところ、わたしが誰かと住んでいる未来がまったく想像できない。叶うなら誰かと結婚してもマンションの隣の部屋に住んでいてほしいと思うが、「そんなことを言っていた知り合いは今全員独身だ」みたいなちくちくツイートを見かけたので、どのみち駄目なんだろうと思う。わたしが死ぬまでに折原臨也と正式な結婚をさせてはくれないだろうか、世界。