目が好きだった。薄く開かれた瞼の隙間から覗く、冷徹な瞳が好きだった。夕焼け色の、少し赤みがかった瞳。紅霞の奥では、鴉のような闇深い黒がいつも遠くを眺めていた。その視線がどこに向いているのか、あなたの興味を擽る対象が如何ほどのものなのか、いつも気になってしょうがなかったんだけれども、癖のようにあなたの視線を目で追いかけてみたところで、私と交わることはない。
その冷徹な瞳が、奥の方で確かな情熱を湛えているときがたまにある。憂愁を秘めた虹彩が獲物を映し、反射してきらきらと光るあの瞬間。初めて見たときは、こどもみたいだと思った。歳不相応なほど大人びたあの瞳が、あるとき、宙を映したまんまるいビー玉のように輝くのだ。あなたの目に光が走るときーーろくでもないことを企んでいるのだと、私は知っている。猫のように、猛禽類のように、狙った獲物を捉えるその三白眼がひどく美しい。なんでも見通していそうな双眸が、そのきれいな瞳が、愉悦から細められるその瞬間に私は見蕩れてしまったのだ。次元を超えて、こちらに向けてくれればいいのに。越えられない画面のこちら側で、手を伸ばしてはいつだってそんなことを考える。あなたの瞳が愛おしい。