◆本と鍵の季節
旅行の移動中は、積み本を読む絶好の機会。あと2話分だったので持っていきました。初版が出た時に買ったのでもう6年前の本…になってしまう。読破が遅くなりました。あ~読んでよかった。
そももその「913」を知ったのは『いつか、君へBoys』で、これを手に取った当時は小説なんて久々で、執筆陣に辻村深月さんが居て、そのころに「冷たい校舎の時は止まる」を読んでいたので何気なく手に取ったんだと思う。(冷たい校舎~は読破できてなくて…すいません)最後のページに掲載されていた「913」が本当に面白くて短編なのもったいない!!!ってなった数年後に、本と鍵の季節が登場して驚きと興奮したのを今でも覚えている。
本書は壮大なミステリー!サスペンス!ストーリー!といったものではなく、ただ静かに図書委員の男子高校生2人が、何気ない日常の中で見てしまった謎に、ずるずると引き込まれていくものなんだけど、それがまた静かだけど魅力的で読み進めてしまう。
「昔話をきかせておくれよ」が本当によくて~……話が進むごとに、この話ははたして読み進めていいのだろうか?という絶妙に残る不安を抱えさせながら、読者に色々なところを委ねてくれるのがよかった。そのアンサー話が書き下ろしの「友よ知るなかれ」という話なんだけど、本が刊行されなければこの話はなかったことになるため、「昔話をきかせておくれよ」がふわっと、ビター感をかませながら日常に溶け込んでいくようで、ああ、それでも時間は過ぎていくんだな、と思わせる演出だった。
続編の「栞と嘘の季節」は既に持っているので、また時間はかかってしまうかもしれなけれど、読み進めてみようとおもった。世にはたくさん小説があって、いっぱい読みたいけれど、一つ一つの作品を噛みしめたいので、私なりのペースで読書をするのも悪くはないのかな、と思った。
挿絵もなく、web上の広告でしか見られない登場人物の堀川次郎と松倉詩門を見て欲しい。本当に私好みすぎるビジュアルをしているので…