猫が贅沢になった

八角
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正月を経て、猫が贅沢になった。

お刺身の切れ端や、湯引きした煮付け用のカレイなどを食し、引きこもる飼い主にご飯のたびにチュールをねだり、と飼い主のおこぼれに預かる形で贅沢三昧だった猫。もちろん摂取量の目安は守っており、太ったとかではない。

ではないのだが、今日夕飯の支度をしていると、猫がいつも通り足元までやってきて、何を切っているのかとキッチン台にフワフワの両手をついて覗き込んできた。うにゃ〜んみぁ〜と要求するので、白菜の柔らかく美味しいところを選び、食べやすいサイズに千切って与えたところ、スンスンと匂いを嗅いでペロリと舐めると、違うんだよなぁとばかりに立ち去ってしまった。春キャベツが好物で、置いておくと勝手に齧っているような猫である。白菜もキュウリも好物だ。なのにこの仕打ち。

どうやら連日のお魚フルコースにより、僕が包丁を持つ=お魚の図式が確立されてしまったらしい。全く持って、贅沢な猫である。

どんと祭までは正月な我が地域でも、仕事も始まり通常の生活に戻るタイミングだ。流石にこれ以上贅沢な猫にするわけにはいかない。たとえ、取引先の揚げ物屋に住み着く野良猫達がやけに立派な家を与えられ、残り物の揚げ物やチュール三昧だとしても、ヨソはヨソ、ウチはウチである。

と、そういいつつ、風呂の縁に座る猫の丸い尻に顔を埋め吸っている僕なので、寝る前のチュールはいつも通りあげちゃうんだよなぁ。まあ、日課ですしおすし。

猫の愛らしさの前に飼い主が打てる手は「お前の健康を守るためだから」と苦汁の思いでオヤツを少しだけ減らすことぐらいかもしれない。

@8kaku
八角です。兼業イラストレーターやってます。 普段はMisskey.Designに居ます misskey.design/@8kaku