世間は大型連休だ。わたしもどこかに行きたい。どこかというのは、いつもの買い物先とか散歩コースとかコメダとかではない場所という意味だ。最近は、意識してその手の自分の欲求に応えるようにしている。
で、海へ行くことにした。近所の海だ。現在の住所に越してきてからかなり経つし、15分も歩けばそこは砂浜なのに、なぜかこれまで一度も海を見にいったことがなかった。子供のころから海が近くにある環境に慣れていて、わざわざ海を見たいなんて考えもしなかったからだろう。幸い天気もいい。自由に外出できるのは月曜と水曜だが、あさっては天気が崩れるというからこの機を逃す手はない。
出発。どこをどう行けば砂浜に下りられるかがわからないため、Google Mapをチラ見しながら歩く。自分の住んでいる街を歩いているという気がしない。
やがて……海だ!

ただの砂浜なので、周囲には人はほとんどいない。わたしは普段イヤフォンで音楽を鳴らして歩くが、それも止めて、波の音に包まれながら足の赴くまま砂浜を歩いた。
一歩踏み出すごとに、靴がじわり、じわりと軽く沈む。そうか、砂浜ってこんなだったっけ。すぐ近くに国道が走っているのにもかかわらず、車の行き交う音は耳に入らない。まるで非日常の世界に迷い込んだかのようだ。空は少し霞んでいたものの、気温が暖かいせいもあって海風は爽やかだった。
2, 30分も歩いただろうか。少し疲れてきた。程よい運動にもなったし、何より海に来るなんて滅多にないことで、すごくリフレッシュできた。というかこんなに近いのだから、晴れた日にはまた来よう。
帰り際に、ホタテの貝殻を拾う。近くにはホッキの貝殻も散乱していて、ちょっと不穏。写真の貝殻はその後持ち帰って洗剤できれいにした。
