バス移動が楽しい

母が入院している病院は郊外にあり、行くのは結構大変だ。タクシーを使うと5,000円以上かかるため、初回、母を連れてタクシーを利用したときは支払いの際に平静を装うのが大変だった。片道5,000円は、よほどのことがなければ出したくない。

幸い、無料の送迎バスが運行されているので、着替えを届けたり、必要な手続きをしたり、面会をしたりするときにはそのバスを利用することができる(でも、面会の許可はまだ下りていない)。

送迎バスには正味1時間は揺られている。常に時計を気にする暮らしをしていたら勿体ないと思うかもしれないが、今はこの時間を楽しむ余裕がある。イヤフォンをしているので、ほかの乗客の気配は気にならない。音楽を聴き、車窓からの景色を眺めながらバスの揺れに身を任せているのが気持ちいい。最初は移動中の暇つぶしにと本を用意していったが、それよりぼーっと外を見ていたい気分。うとうとしてしまうこともある。もしも眠ってしまっても、降車場所に着けば起こしてもらえるはずだ。たぶん。

子供のころは乗り物酔いがひどくて、遠くへ出かけるのがいやだった。バスでも、父が運転する自家用車でも、タクシーでも酔った。奥尻にいた親戚を訪ねたときは、フェリーが揺れて揺れて、大変な思いをした。それが今では乗り物での移動そのものを楽しんでいるのだから、わからないものだと思う。

@9ris10f
自分のこと、日常のこと、家族の介護のことなどを書きます。