ピンクの携帯電話

もう1年以上も前から母は携帯電話を操作できなくなっていたが、長く使っていて愛着があるのかどこへ行くのにも持ち歩いていたため、万が一行方不明になった場合に身分証代わりになることを期待して、解約はせずにいた。でも、それももう必要ないだろう。

ということで、解約することにした。ドコモショップでは予約が必要かもしれないと聞いていたため、まずは電話で問い合わせをし、本人が認知症なので店舗まで行けないことを説明した。委任状が必要といわれたらどうしよう? 幸い、その話は出ず、翌日に予約を入れて電話を切った。

持っていく必要があるのはこれだけだった。

  • 本人確認書類……障害者手帳(母はマイナ保険証を持っておらず、通常の保険証ではだめといわれたため)

  • 代理人の本人確認書類……わたしの運転免許証

  • 現在使っている携帯電話

母が使っていたのはD702iFという古いドコモのガラケーで、調べてみたら18年前に発売された機種らしい。デザインを気に入った母が、確か予約をして購入をしたのだったはず。バッテリーパックも5、6回は交換している。

母が使っていたD702iF(ライラック・ミラージュ)。掌に収まるサイズ。

ドコモのサイトで確認したら、色は「ライラック・ミラージュ」。とはいえ見た目ははっきりいってピンクだ。ピンク色の嫌いな母がどういうわけかこれを気に入って、何度機種変を勧めても聞き入れず使い続けていたからには、きっと何か心を掴むものがあったんだろう。傷らしい傷もない。「多少の使用感はありますが状態は良好です」でたぶん通る。

そんなふうに考えると勝手に処分してしまうのもなんだかなーという気分になってしまって、無事に解約手続きが終了したあと、携帯電話本体は記念に持ち帰ってきた。

@9ris10f
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