残業明け、まだ地下鉄街がぴかぴか眩しい時間帯だったので、ちょっと嬉しくてふらふら歩くことにした。毎日突然登場した案件に振り回されて、脳味噌もふらふらしているのはご愛嬌である。
そんな矢先に見付けた赤色のゴシック体、5足組合せ自由で1100円。安物買いの銭失いはご遠慮願うが、過去に何度か買い物をしたことのある靴下屋さんだったので、多分大丈夫だろう。4足1100円は割と見かけるが、これは5足だし、まあコスパは良かろう。消耗品は割り切りも大事だ。
そーいや先日、職場履きのサンダルがやたらぺたぺたするなと思ったら、踵の辺りに小指の先程度の穴が出現しており、社会人としてこれは如何か、とか思った記憶がふやふやの脳裏を駆け巡る。業務のタスクが増えまくるせいで、私生活のあれそれはすっかり忘却の彼方であった。
そんな中、これはきっと奇跡的な出会いである。買うしかあるまい。
いざ、と気合を入れて店舗に足を踏み入れ、丁寧に山積みされた色彩鮮やかな布地たちに手を伸ばし、春夏向けのええ感じの奴を発掘する作業を開始した。
さて、過ぎていった秋冬、私は靴下選びでちょっと失敗した。一向に改善されない足先の冷えを何とかするべく、ぬくそうな少し厚手のものを数足購入したものの、なんとスニーカーを脱ぐ時に繊維がもろもろと出てきてしまうタイプだった。スリッパにまで黒やら紺やらの繊維のかけらが纏わりついて、地味にヤな感じであった。肌触りのよい生地だっただけに、まさかこんなことになるとは。見抜けなかったのが悔しい。
店内の棚には刺繍の入ったものや、夏らしくシースルー素材なども散見されたが、悔いを糧にするのであれば履き心地と耐久性を考慮して選び抜くべきであろう。あと通気性とか吸湿性とか。靴下なんか汗を吸ってなんぼですからね。知らんけど。
脚のむくみが気になる年頃なので、着圧レギンスと靴下で毎日を過ごしており、これからぐんぐん上昇するであろう最高気温を想像すれば、吸湿機能は欠かせない。また、職場でも履く時間が最も長いことから、それほど華美でないものがよい。サンダルでもさほど違和感のないものであればなおよい。云々。
余談だが、よく考えたら高校の頃から着圧ソックスを愛用していたのだった。むくむくぷくぷくである。去年5キロも太ったし。晩ご飯を食べる時間が遅いのと運動不足が原因であることは理解しているが、自分に甘いので一向に痩せそうにない。今年こそ体重を元通りにしたいものである。
という訳で、うんうん唸りながら選別を重ねた結果、足元の戦闘デッキは無難に黒白グレーの3色で構成されたのであった。肌触り、吸湿性、スニーカー・サンダル問わずに履けるリブ素材と完璧の布陣である。多分。
るんるんで帰宅し、早速翌日から履いたところ、目論見通りの品質で大満足であった。関西人たるもの、安くてええもの見付けてなんぼですからね。そんな春の日。