2024年5月2週間目

a_waltz_at3pm
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自転車での通勤中、SPYAIRの「オレンジ」を聞いていると、自分もハイキューの世界の住人になったかのような気分になれるので楽しい。結構な声量で歌いながら自転車を漕いでいる。駅や仕事場に着くころには息切れしている。

GWの最終日はフォロワーと一緒にホラーモキュメンタリー「奥様ッソ」「このテープ持ってないですか?」をわたしの部屋で見た。2作品ともリアルタイムで観れなかったし、TVerで配信が開始したと聞いて観られずにはいられなかったのだ。ネットでの評判も良く前々から見たいとは思っていたものの、一人で見るには勇気がいる……ということで同じく興味を持っていたフォロワーを誘った。

さて、「奥様ッソ」は、わかりやすく面白かった。ああこういう展開でこういう関係でこういう雰囲気でこういう感じね、とうなづきたくなるような内容だった。霊とか呪いとかでなく、人間が怖い系の内容で正直言うとそこまで怖くなく、なんというか、なぜかすべてを知っているかのような具合でカメラが不穏をすべて画面に収めるので、そこがシュールで笑えた。大家族編の超絶不穏包丁と明らかに事の起きた風呂場のようす(見た人にはわかる表現)はあからさますぎて笑ってしまったし、なんなら番組の放送が終わった後の「この番組を不自然と感じたあなたは自然です」テロップが一番怖かった。

「このテープ持ってないですか?」は、その……こちらは個人的にすごく怖かった。梨さんが制作にかかわっていることはわかっていたから、なんとなく想像はしていた(視聴者や読者を第三者にせず当事者に据えてくる、現実に侵食してくるタイプのホラーだろうな、という)けれども、わかっていても怖かった。こちらは「奥様ッソ」とは対照的で、具体的な説明などなにもないまま、番組は進む。録画されているテープの内容も、番組それ自体も、出演者も、すこしずつ何かが狂い、ずれ、おかしくなっていく様を淡々と見せられ続ける。梨さんのことだからジャンプスケアはない、という信頼のもと映像を眺め続けるも、眺めていられるからこそどことなく目を逸らしたい映像の中に映る不穏と不安と違和感を味わい続けることになる。意味がつながっていそうでそうでない台詞が延々と交わされ──パプリカのシーンで有名な島所長の『総天然色の青春グラフィクスや1億総プチブルを私が許さないことくらい、オセアニアじゃあ常識なんだよ!』というあの一連の演説台詞によく似た──あまりにも観ている側の頭がおかしくなりそうなシーンが繰り返される。「パプリカるな!」と言いながらフォロワーと見つつ、不自然さを残したまま終わった番組を前にすごかったなあ~と言い合った。この、それらしい説明が一切なされず意味不明であるからこそ解決策も逃げる場所もない、行き止まりにいつのまにか行ってしまったような、自分が否応なく巻き込まれまくっていることだけがわかる恐ろしい味わい、さすが梨ホラー……! 大抵の人間が感じる「嫌だな」「気味が悪い」「きもちわるいな」のWEAK POINTを的確に突いてくるホラー……! ものすごくよかった。今年の目標に「ホラー小説を書く」とあるので、その勉強にもなった。TVerは登録しなくても配信が見られるので、ご興味のある方はぜひ!

ホラーモキュメンタリーを見た後は出前館でつけ麺を頼み、1月に買って以来機会がなくて遊べていなかった「Nego」で遊んだ。わたしは負けたけど、終盤になると猫たちがぎゅうぎゅう詰めになる絵面がかわいかったのでなんでもよかった。

ふたりでにじさんじマリオカート杯も見た。ふたりともシェリンに優勝してほしいと祈っていたので、最終レースのココナッツモールでの青甲羅被弾リカバリーの速さと赤甲羅処理に震え、喜びの台パンを聞いた時には涙ぐんだ。わたしは目標のために努力を積み上げられる人のことが好きで、その努力している様を見せてくれる人が好きだ。(例:実況者のshu3など)2022年のマリカ杯でシェリンが3位になったとき、大会の直後にくさあんさんにコーチをお願いして「化け物になりたいんです」と言っていたのもリアルタイムで見ていたし、シドニーのTAレッスンもわ~スティックの倒し方って画面見るだけでわかるんだ…と驚いたし、それからいままで、シェリンのやるマリカの配信はなるべく見てきた。だからこそ、彼が優勝してくれて本当に嬉しかった。「時間はかかるけど努力は実を結ぶ」涙声でそう話すシェリンの配信を聞く都度感極まってしまうし、シェリン以外にもたくさんの熱い展開とドラマが生まれた今週はにじさんじマリカ事変の切り抜きをずっと見ている。

GW開け初日に雨が降り、普通にテンションが下がる。そんな中でも、休み明けからは帰宅次第通販の梱包作業を黙々と行っていた。新刊だけでなく一次創作小説や再販した既刊も一緒に迎えてくださった方がおり、どうにか無事に届きますようにと包んではポストに送り届けた。自家通販、やっぱり大変なんだけど、続けていきたい。

フォロワーさんと通話しながら「イシナガキクエを探しています」を見た。都度出てくる不穏な映像を前に 何してんの!? 何してんの!? ぎゃー! などと言いながら、お互い考察しあって来週の最終回もまた電話しながら見ましょうねと約束した。モキュメンタリー風のホラーをリアタイするのは「祓除」以来で2回目なのでドキドキする。一体どんなふうに現実に恐怖が侵食してくるんだろうか……という期待がある。リアタイでしか得られないゾクゾク感がある。

久しぶりに絵を描いた。シャーペンの握り方をすっかり忘れていて、変なところに力がこもった。自分で描いた絵を見て、うーんと唸る。それから、もしも、と想像をする。もしも、あのころのわたしが自分の絵の成長曲線に見切りをつけて小説を書く方にシフトしていなかったら、という想像だ。

わたしが創作のスタイルを絵から小説へと本格的に変更したのは5年前くらいのことだ。ちょうどそのころわたしは鬼滅にハマっていて、当時は絵4割:小説6割くらいの比率でなにかしらを書いてネットに上げていたように思う。鬼滅にハマるまではほとんど小説を書かず最悪の姿勢で部屋で無限に消しかすを生み続けていたくらいなのだが、そんな絵をあきらめたのは単純な話で、どう頑張ってもデジタル絵を描けなかったのと絵は描けても漫画が描けなかったためだった。

書きたい話は頭にあるのに、うまく出力できない。そのストレスに耐えていられず、むかしからなんとなく、本当に適当に続けていた小説に手を出した。そしたら、小説の方がずっとスムーズに頭に描いていた話を書くことができて楽しかった。そしてこれは、極めて個人的な話であってほかの人がどうかはわからないし知らない、でも小説も絵も描く自分のことだから断言できる。そのときのわたしは、わたしにとって楽な方に逃げた。わたしは絵から逃げて小説に甘えた。そう表現するのがただしい。今となっては、自然と「向いている方を選んだ」んだな、とは思う。そうであってくれ……。

今は小説を書くことが本当に大好きだし、絵も変わらず好きでいる。ただ、小説も絵も、半端に手を出しているばっかりだなあとはしみじみ思う。ただ「書ける/描ける」というのと、「上手く書ける/上手く描ける」というのは全然違うわけで、自虐ではなく自分のことを第三者から見た時、どちらともたぶんレベルがそんなに高くなくて、ちゃんとできていないんだろうなと思う。つまり、なんでもかんでも手を出すだけ出している。何か一つ極められたら、と考えては、何も極められてはいないんだよなとうなだれる。何を以て「極める」とするのかといったところだけれども、とにかく、まだ全然足りていない。だから絵も、またすこしずつ描いていけたらうれしい。小説だって同じように。

スト6のCRカップがあった。こちらもすっかり大好きになった一大イベントなので、スクリムから本番まで楽しんだ。今回は主に「まおのこ」チームを応援していたのだが、スクリムから本番までずっと面白かった。やっぱりスト6は他のゲームにはあまりない、ひとりひとりにのしかかる責任やプレッシャーが思わず声をあげたくなるようなドラマを生む様が感動的なので、次にオフで開催される時があったら絶対に行きたいなあと思っている。始めたての初心者同士の戦いはがんばれー! と言いたくなるし、はたまた、プロ同士の戦いは息が詰まって心臓がどきどきとする。そして、絶対そうなるだろうと思っていたらやっぱりかじゅがCRに加入したのでうれしい。今年のSFLはアツい。

起きては寝て、起きては寝て、と1日眠り続ける日があった。たまにある日だ。何回だっていつまでだって寝ていられる日。

『旧朝香宮邸を読み解くAtoZ展』に滑り込んできた。Xで、よかったよ~でも開催期間は5月12日までだよ~というポストを見かけて、いいな~おもしろそうだな~と思い軽い気持ちで調べてみたらチケットがまだ残っていたのだ。こうなりゃ行くっきゃない、という気持ちで向かった。

旧朝香宮邸は目黒駅から10分もかからない距離を歩いた先に在る。1910年~1930年あたりのフランスで栄えたアール・デコという装飾様式を取り入れたその建物は、皇族・朝香宮家の邸宅として1933年に建てられた国指定の重要文化財だという。

今回の展覧会は、この邸宅の開館40周年を記念し、改めて旧朝香宮邸をじっくりと読み解く趣旨の展覧会となっている。これまで培われてきた調査や研究をもとに、建築技法、建設に携わった人々、室内意匠や素材、各時代にまつわるエピソード等、アルファベットのAからZを頭文字に持つキーワードについて解説され、新たな見どころや魅力知ることができる。(ほぼ公式HP紹介文より引用)

これが、とてもよかった。ものすごく簡単に言ってしまえば内見とかモデルルーム見学みたいなものなのだが(?)、とにかく、旧朝香宮邸は部屋から廊下から階段に至る隅から隅までデザインが凝っている。壁紙や床、硝子に描かれた複雑な模様、照明の形、暖炉のスペースに排水口、ドアノブの金具まで意匠を凝らしたものばかりで目を凝らして追ってしまう。

特に照明のデザインはすごくよかった。部屋に入ってすぐ、どこよりもまず天井を見上げることなんてそうそうないし、見上げてすぐ、かわいい! と目を見張りたくなることもそうそうない。いくつもある部屋はそれぞれデザインが異なるし色合いだってさまざまだというのに、全体的なバランスというか釣り合いが取れていて完ぺきに計算されているものだから素晴らしかった。こんなかわいい家に住めたら楽しいだろう、絶対……。と思う。どう森とかで再現できないかな、と考えながらAからZまでのカードを集めて部屋を巡った。人はそれなりに多かったものの、それでも十分満足できた。

これは、それぞれの部屋に置いてあるカードを26文字分集めたもの。このカードがまたかわいいのだ。リボンは自宅に在ったもので結ったけれども、カードひとつひとつのデザインがおしゃれで、束ねたものを眺め返すとまた楽しい。いい展覧会だった。ぎりぎり滑り込むことができてよかった。

文学フリマが来週に迫ってきた。2冊目の正方形本! スペースは入り口からちょっと離れているけれども、たくさん手に取ってもらえたらうれしい。既刊も少しだけ在庫があるので頒布する予定だ。

Webカタログはコチラ(https://c.bunfree.net/c/tokyo38/34636)です。ずっと勘違いしていたんですが今回の文学フリマは東京流通センターでした。ビッグサイトは今年の12月に開催される「文学フリマ東京39」からです。東京流通センター第一展示場C-20 午後3時のワルツにてお待ちしています。よろしくお願いいたします!

@a_waltz_at3pm
自我の置き場(1週間日記・本と映画感想記録)