買ったマンションが1.5倍の値段で売られてる

aatoku
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3年前、コロナの波が始まろうとしたころに、マンションを買った。都心の一角である。当時、SUUMOは三食の友だった。苦心して設定した検索条件は、今もスマートフォンに残っている。

家を手に入れたあとも、時折それを覗き見る。日を追うごとに画面上の数字はゆるやかに上昇した。最初の年はたしか0.5割くらいだった。3年経ったいまはどこも2割は伸びている。

これはおそろしいインフレだ。私の身長が1年で5%伸びることはないし、体重が2割増えた私を見て、3年ぶりに会う友人はなんと言うだろう。

その日も湯船につかりながらSUUMOを覗いていた。目に留まったのは、私の住む建物の別の部屋である。価格は購入時の1.5倍。にわかに信じがたい。

私の部屋で同じ計算をしてみる。リノベーション代を差し引いても頭金まで戻ってくる。たった3年の間で世界の何が変わったのか。ニュースで聞く都心部のインフレはどうやら本当らしい。

当時、都心か地方か、そんな話題が世間を賑わせていた。私は、共働き世代には都心部の中古マンションが安心だと考えている。駅徒歩10分・新耐震・60平米。この条件で売却に困ることはないだろう。

しかし、この都心部の異常なインフレはいつまで続くのか。買えば価値が上がる土地もあれば、買った瞬間から下がる土地もある。どちらを選ぶのも自由だ。生活の価値は土地だけで決まるものではない。

ただ、共働き世代のマンション選びは、いつか訪れる終の住みかを選ぶまでの仮住まいだ。その点で、次の選択肢に困らない土地のほうが、仮住まいとしてはふさわしいのだろう。

@aatoku
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