何某日記:美しい言葉

achamoth
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芥川龍之介にハマっている。

ともかく脳内で読んだ時の言葉の響きが心地良い。そのくせ無駄なく必要な情報を与えてくるから、3行あたりで再生される情景が映画のように流暢に動き大変にテンポが良い。言葉の美しさと小説や読み物として求める情報量のバランスが神がかっている。短編ばかりなのも納得で、1行で人に与えられるモノが他の書き手より段違いに多いのだった。

昨日はやっと泉鏡花デビューをして、着物の生地をたくさん並び立てられたような、そして歌舞伎や能の口上のような、粋で雅な文体は今の感覚ではギリギリ小説、もう少しいなせに傾いたらもう古文体で何言ってるか分からないだろう。

でもわかる。だから時代の中で置き去りにして来た江戸の感覚、明治な感覚がタイムマシンのように襲ってくるのだ。その上で、話の筋は意外にも抒情トリックめいてたり伏線がきっちり張られてたりしてて割と推理小説めいた驚きを与えてくる。

なんて美しい日本語たちだろう。けれど、それは古典にしか存在しないわけじゃない。もはやそれと真逆と言って良いインターネットの中にだって、思わず声に出したくなるような、感心できる言葉がある。

automatonの見出し。

それは、ゲームネットメディアautomatonの記事PR文。

怪物に聞かれぬよう、迷子の愛犬の名を呼ぶジレンマ

桐生一馬、imaseやAdoと肩を並べる

アジア感強烈な建物に潜むネコを見つけまくる無料ネコ探し

この、短い文章で記事の面白さを伝える見出しやPR文。一目見たらautomatonだと分かる作家性がある。特有のリズムがあるそれはもはや詩のようである。

インターネットという徒花を書き留める現代の詩人、ネット記事の見出しつける人の仕事も見逃せない!