昔から不眠がちだった。寝つきに時間がかかるタイプだ。睡眠薬をもらっていたこともある。
寝る前になにも考えない方が早く寝付ける、ということに気づくのに、31年かかった。
最近寝る前に瞑想の音声ガイドを聞く。呼吸や体の感覚に集中していると、10分くらいで寝付ける。これまで30分以上はかかっていたので、とても驚いた。
いろんな人に、寝る前に色々考えちゃうと寝れないんですよねーと話した。寝れないと訴える人のほとんどが、同様に寝る前に色々考えていると言う。
でも、そういえば私にとっては、寝る前の時間はいろんなことを考えるための時間だったのだ。
小学生の頃から読書が好きだった私は、毎日図書館に通い本を借りてきた。ベッドに入って、ベッドサイドの灯りだけをつけて、本を読む。母にバレないようにこっそり。(早く寝なさい!と叱られる)
そして読み終わると、色々と想像を膨らませる。それは物語の続きだったり、自分がその物語に入って活躍するところだったり、オリジナルの世界だったりする。少し大きくなってからは、その日の出来事を思い出したり、次の日の予定を考えたり、とまぁ寝る前は考えるための時間だった。昔は早く寝たいなんて思ったこともなかった。
ベッドに入ってからは他にすることもないし、誰にも邪魔されることもない。とにかく自分の考えたいことを考えられる、そんな時間だった。
大人になって物語を想像することはなくなったけど、変わらず色々頭に思い浮かべていた。楽しかった出来事だったり、やらないといけないことだったり、直近の課題だったり。
嫌なことを思い出してしまう、というわけでもなく、とにかく自然といろいろなことに考えが移る。そのせいで寝れないなんて考えたこともなかった。だって、色々考えたり思い出したりするための時間だと思ってたし、それが当たり前だと思っていたから。
他の人が寝る前に何かを考えてるのか、考えないのか、聞いたことがないからわからないけど。
私にとっては寝付くまでの時間は考えたり想像したりする時間だったのだ。それをやめたら寝れるようになった。早く寝たいけど、少し寂しい。