高校生のとき、専門学校に行きたいというと父に断固として反対された。
そのとき父は、「お父さんたちは必ずお前より先に死ぬ。いつまでも面倒を見てあげられたらいいけど、そうはできないから、お父さんたちが死んでも1人でも生きていけるように、大学は絶対に出なさい。」と言った。
「それでもれどうしても専門学校に行きたければ、大学を出てから行けばいいから。」とも。
いま思えばなんとも贅沢な話であるが、うっすらと反抗期の私には納得いかなかった。大学出なくても生きていけるでしょ、と思っていた。(もちろん学歴は関係ない部分は多いが、親として出来ることのなかでは将来のために大学に行かせたいということなんだろう。私には大きな夢もなかったし特別なスキルもないし)
そこまで言う父を説得することはできず、大学出てからでも専門学校に行かせてくれるならまぁいいか、と大学に進学することにした。(そんな気持ちで進学するには気持ち的にも金銭的にも重すぎる薬学部に)
今となっては大学を出ておいて良かったと思うし、薬剤師免許もとってよかったし、あのとき真剣に勧めてくれた父には感謝しかない。
ただ、父は高卒なので、なんでそこまで大学を出ることにこだわるのか当時はわからなかった。
冷静に考えると、父は大学を出なかったことでもしかしたら不利益を被ったことがあるのかもしれない。高卒であることでできなかったり、損をしたりしたことがあるのかもしれない。
父の気持ちはわからなくても、自分が死んだ後もちゃんと私が生きていけるようにと考えてくれていることに高校生の私は驚いた。父母がいなくなることなんて想像もしていなかったからだ。父が私を大事に思ってくれていることがわかったできごとでもあった。