私は毎月、少額ではあるが国境なき医師団に寄付をしている。
たくさんの人道支援団体があるが、国境なき医師団を選んだのは、亡き祖父の影響だったのではないかとふと思い至った。
祖父は医者だった。手先が器用で機械が好きだったのでエンジニアになりたかったようだが、周りの期待や借金などの事情と、頭も良かったことから医師になった。
戦時中は医学生だったため徴兵されなかったと聞く。
そして私の地元である京都で開業、町医者として長く地域の人を助けてきた。昔は診療所として手術室や入院設備もあったらしい。私が生まれた頃には外来だけの受付になっていた。
そんな祖父が国境なき医師団に寄付をしているのを知ったのは、私が祖父の確定申告を手伝うようになったからだった。
寄付控除があるので、寄付証明書を渡されて確定申告の書類を作っているときに国境なき医師団へのそれを見て、なんとなく記憶に残っていた。
そのときは祖父も医師だから、共通点がある国境なき医師団に寄付をしているのかとだけ思ったが、今から思えば戦時を生き抜いた祖父には、自分も入団したいというような気持ちもあったのかもしれない。真偽のほどはわからないが。
そんな祖父の気持ちを受け継ぐように、私は寄付をするようになった。以前はたまにする程度だったが、ウクライナの戦争をきっかけに定額寄付に切り替えた。
祖父の思うところは今となってはわからないけど、勝手に想像して受け継ぐことにする。