ベッドに潜って眠りを待っているとき、ふと目の前がぐらっと揺れる感覚になる瞬間がある。だいたいは自分の腕を枕代わりにしているときで、なんだ原因はこれかと済ませられるときもあれば、そこからあれよあれよという間に思考がぐるぐると回り、揺れ、落ちていくときもある。
幼い頃からずっと地震がこわい。日本人は震度3でも動じないなんてよく聞くけど、わたしは他人にその程度と言われる揺れも十分に恐怖を感じる。なんで地面が揺れるんだ、どこにも逃げようも避けようもないじゃないか、とずっとずっと、今でも思っている。年の初めから立て続けに地震が起こっていて、その恐れがわたしの中でずっと静かに燻っているのかもしれない。それが特に眠る前、ホルモンバランスが乱れる時期にはよく現れてしまう。
こんなことでひとり怯えていることが情けなくなる。小さな物音にも敏感になり、思わず毛布をぎゅっと握る。頭の中で止めどなく巡る不安は時に水分として流れ出て、ああこの年齢になっても全然世界に適応できない、と余計に情けなくなる。
目に映るニュースは嫌悪感とか失望という表現で言いくるめられないくらい、膝から力が抜けて立っていられないくらいだ。蔑ろにされている、それはわたしの主観ではなくもはや事実なのではと思うようになってきた。戦争や虐殺が罷り通る世の中なんて嫌だ、戦争を肯定するなんて許せない。不安はわたしの頭の中だけでなく、現実でも多く目の前に立ちはだかっている。
怯えるばかりの日々で、なにをどう確信を持って生きればいいのだろう。みんなどうやって折り合いをつけているのか、こっそり教えてほしい。