ぼくは、ALT機能(代替テキスト機能)は、できるだけ、可能なかぎり、適切に使うべきだという立場を支持しています。一方で、「X/Twitterというサービス内で提供されているユーザー機能としての代替テキスト機能」については非常にむずかしいととらえています。かなり明確にわけて考えています。
代替テキストの存在意義はアクセシビリティです。ライトなものでは通信遅延や一時的なエラーで画像が読み込めないときの代替的なテキスト(a textual substitute)としてあります。テキストベースの特殊なブラウザのためでもあります。
それらの目的のなかでももっとも意義深いのは、視覚障害者・弱視者・高齢者らのためのサポーティブな機能としての存在意義です。これはうたがいようがありません。
ただ、ALT以前に、つまり「代替テキスト」以前に、X/Twitterにおいては、通常の投稿テキストでさえ「音声読み上げソフト(スクリーンリーダー)」で意味理解できないテキストがおおいです。
これはほんとうにお願いになりますが、じぶんの投稿を読み上げソフトで読み上げてみてほしいです。iOS標準のアプリ、有料アプリ、いろいろありますが、ソフトによってもけっこう変わるのがわかります。
たとえば最近あったもので言えば、装飾文字を利用した「ᕼᗩᑭᑭY ᑎᗴᗯ Yᗴᗩᖇ」は、目視で読んでいる私には「ハッピー・ニュー・イヤー」と読めますが、それぞれのソフトで、こうした装飾文字がどのように読まれるか知っていますか?
9割以上のひとは、別に知らなくていい、と思うでしょう。どうでもいいでしょう。どうせ支援ソフトで読み上げてみようともしないでしょう。有料ソフトなんて買わないでしょう。「改正障害者差別解消法」に基づく具体的な社会の規範に関する議論でもなければ、「ウェブアクセシビリティ」の意識改善に関する議論じゃなくて、ストレス発散がてらにお気持ちで殴れるものを殴ってるだけでしょう。
読み上げてみるとわかりますが、「!!!!!!!!」も「😭😭😭😭😭😭😭😭😭」もダメですし、単語のあいだに不要なスペースを入れるのもダメです。マークアップできていない表とか、非同期通信による動的なコンテンツ更新とか、不明瞭なリンクテキストもダメだし。
みたいな、規範的に否定されるべき事柄(ダメ)が大小たくさんあります。ウェブアクセシビリティは、たくさんのひとが学ぶべきです。代替されない通常投稿テキストも、代替テキストも適切に使うべきです。
そのうえで、X/Twitterのような、プラットフォーム、アプリ、サービスのなかで利用者にほとんど丸投げされている「ひとつのユーザー機能」について、その利用者がどう使うかまで、いちいち学級会するのはあまりに不毛だと思います。キリないです。すべての「ᕼᗩᑭᑭY ᑎᗴᗯ Yᗴᗩᖇ」を殴るわけにはいかないし、びっくりマークは2つまでにするように利用規約に書くわけにはいかないし。X/Twitter自体が、ウェブアクセシビリティにそこまで本気で興味あるわけじゃないです。
ちなみにぼくは、ソフトで読み上げてみたほうがいいな、と思ってから実際にじぶんの投稿を読み上げてみるまで何年もかかりました。iPhoneユーザーなので、「設定」からすぐにできるんですけどね。まだまだ意識が中途半端に低いです。