勉強のイベントをやります、という話!!!

勉強ってすごい、と実感するようになったのは、中学高校のおべんきょう大チャンスを、笑っちゃうぐらいサボり倒して、みすみす逃して、大学もあっさりやめて、生身ひとつで仕事するようになってからだった。

でもべつに「あの頃」に戻ってやり直したいとは思わない。私はどうせたのしくないと勉強しないので。過去の大チャンスにすがるまい、と首を横に振った。その代わり、やりたいのは、みんなでたのしく勉強すること。これ以上シンプルなモチベーションはほかにないと思う。

そして、これほどむずかしいことはないとも思う。勉強はひとりでやるほうがじぶんのペースでやりやすいから。とくに本に書いてあることをかみ砕くのに、私はかなり時間をかけるタイプなので、個室にこもって半日かけるのがよい。

それでも「イベント」にこだわるのは、イベントがライブだから。勉強のライブは、知識の伝達のライブである。すでに知っていると思われるひとが、いまから知ろうとしているひとに向けて、手渡しで知をプレゼントする。

身ぶり手ぶりとか、目線とか、相槌とか、緊張した抑揚とか、言い間違いとか、言いよどみとか、命がけの、ハンドメイドのことばで、知識を届けようともがく時間、受け取るほうも簡単じゃないから集中する、聞き漏らさないように、聞き間違えないように、理解の手がかりを手探りでもがく。この苦しくも充実した体験が長い長い生涯学習の励みになる。苦しんでいるうちに、たのしんでいるうちに、教える/教わる、という立場の境界があいまいになって、おたがいがおたがいに向けてもがいた時間の積み重ねのすべてが一生の励みになる。ライブは不思議だ。

それにしても勉強はすごい。勉強すると世界が変わる。これは比喩なんかじゃなくて、ほんとうに変わる。見えるものが変わる。感じるものが変わる。相対するひとが別人に思える。それがいいことかどうかは後からしかわからないけれど、大人になったらよっぽどのことがないとなにも変わらないと思っていたものごとが、ただの凝り固まった人生観のアウトプットだったことを思い知らされてしまう。ぶん殴られてしまう。勉強は、バイオレンスだ。

今回、初めて開催する「勉強のイベント」は、テーマに「著作権」をおいた。すごくひとごとのように言えば、容赦ないなと思った。著作権はむずかしい。説明しないといけないことがたくさんあるし、ちょっとしたセンスのようなものを要求する。でも、これは「今」やるテーマに相応しいとも思う。

人工知能(AI)というものが、1950年代からあったけれど、ほんとうのほんとうに、去年今年で急激に進化を遂げて、「生成AI」というかたちになって、コンピューターなのに絵をかけるようになり、映像を生み出せるようになり、音楽をつくれるようになり、文章もしたためるという。あらゆる創作分野で無双できる準備がほぼ整った。それは人類の発展の到達点でありつつ、クリエイターをはじめとする「人間」を貶めるのではないかという脅威論がある。

このおぞましい均衡を、「著作権法」は誰よりも冷静に見つめてきた。この著作権法のことばに耳を傾けると、世界の見えかたが変わる。法というものが、いかにして「公平」を追求しようとしているかという「汗」にも気づく。もちろん完璧じゃないことにも気づく。著作権がなかったら、いまごろ殴り合っているかもしれない。勉強したあとに、あってよかったわ、と思えるにちがいない。

たった一回、100分で、どこまで行けるかわからない。でも種なら確実に植えられる。説明している最中に芽が出ることもあるだろうし、じぶんになにか関連した出来事があったときとか、友だちの有事とか、ニュースを見たときとか、どこかのタイミングで、今回のカリキュラムの種が萌え動く。勉強の効き目は遅れてやってくるから。

そう信じて、ぼくらを信じて、ぜひ参加してほしいと思う。猫耳もつけてるからたぶんたのしいし。3月16日、東京都の文京区湯島、コラボカフェでお会いしましょう。

あいさかちひろ

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