まえがき
とくになし
朝
部分的に隠して、見て欲しいところだけにマーカーが塗られたグロテスクな文章。こう思わせたいということがある時にしか作られないので、歪みが浮き彫り。
目が覚めて急いで車輌を降りると、まだ目的地には着いていなかった。冷静さを取り戻しながら元々座っていた席に戻ると、別の人が座っていた。別の車輌に移動して座り、また眠る。こういうことを今後私はあと何回繰り返すのか。
昼
がんばって頑張る理由を探しているところに、知りもしない人が頑張る理由を提示してくることに辟易としている。何も知らない人ほど他人の思考に介入したがる。何も知らないからこそ言えることがあるのだろうが、せめて足跡を見てくれ。頑張る理由を探すこと自体を放棄したくなるのは大体知らないやつのせい。
夜
昼に書き残しておきたいことがあったのに忙しさにかまけて忘れてしまった。悔しい。
早朝に営業課の口の悪い課長から電話があり、内容は瑣末な問い合わせだったのだが、露悪的なコミュニケーションを受け、冗談めかして「私は貴重な優良社員なんですから、ちゃんとメンタルケアしてくださいよ」と返した。いつもの雑なやりとりでしかなかったのだが、しばらくしてそれを聞いていた先輩のおじさんに朝の電話についてと声をかけられる。何かしら自己満足のための小言でも投げ掛けられるのかと警戒していたら、「おじさんにはメンタルという概念が分からないので、もし本当にケアを必要とするなら、それを説明するところから始め、おじさんに1から10まで理解させないといけない」というマジレスを受けた。ちなみに言っておくとこの人は冗談が通じない人ではない。ただ何事においても考えを深掘りする性質がある。冗談という理解はしたうえで、おじさんという生態についてのTIPSを提供してもらった。強者男性。
世の中には無自覚に他人を殺す人がたくさんいるし、訳もわからず死ぬ人もいる。訳もわからなくなってしまったから死ぬと言った方が正しいかも。
バレンタインのために生まれたにも関わらず、バレンタインを経験できない可能性のあるチョコを、1つだけ救済しに行く。
冒頭の話を思い出した。頼まれたことを断るという選択肢を忘れてしまっていたことを思い出したという話がしたかったこと。ことこと。
人に頼むのは億劫だし、人に頼まれるとなんとなく二つ返事で引き受けてしまう。度の過ぎた献身は身を滅ぼすと他人には忠告するのに。医者の不養生。報いは返すべきという考えと、他人に期待してはならないという考えのコンボで身を滅ぼしている。人の役に立ちたいとかでも恩を売りたいとかでもないのに。明日はひとつだけ断ろうと思う。疲れた。
思い出したかった話って本当にこれだったのかな。脳が私のために代替品を渡してきただけな気がする。こいつは信用ならない。
駅前の怪しい路上商材屋さんにおじさんが怒っていた。おじさんは忙しいな。
みすぼらしい格好の富裕層。
チョコレートに造詣がないため、聞いたことのある名前と人の多い場所を探りながら歩く催事場。人が多すぎる。みんなギリギリで滑り込んでるんじゃないよ全く。結局なんとなく気に入ったという分析ゼロの択。POIREの、紅茶を使用した5種類のチョコレートBOX。あの人は紅茶も好きだし、綺麗だったから。
あとがき
その日がいい日だったかは最後に引くカードで決まるということも思い出せた。引き過ぎて山札が切れてもダメなので、今日はここまででいいんじゃないか。フルハウスで十分。
まだたくさん忘れていることがありそうだけど、思い出さなくていいこともたくさんあるから、流れに身を任せて角を削る。