囚われてた君へ

朱の手紙
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公開:2025/5/3

昔は何かに囚われるのに安心してた気がする。

依存と居場所を勘違いして、居場所は人から与えられるものだと思い込んで必死で何かに依存してた。

だけどもう、何かに囚われるのはもう疲れた。

妬み嫉み恨み辛み、他人と比較して自分は不幸だ幸せだ、美人だ不細工だ。

今の居場所を必死に守りたいから、他人よりも上だと思い込みたいから、妬む、嫉む、羨む、病む。

逆に誰かに羨ましがられるのもありがたいけどちょっと疲れた。

その言葉の意味の裏を考えると底知れない人間の闇を垣間見る。

人間は怖い。知らなきゃよかったことたくさんある。居場所だと思ってた人の中身は、私を下に見て安心してるだけのドロドロとした黒い液体なのかもしれない。

パートナーを居場所と捉える人もいるかもしれない。でも確実じゃない。

確実じゃないものって怖い。

だから私は、どんな境遇でも孤独を愛していたい。

孤独を愛していれば、いつでも手放せる。

私の友人はよく私を「寂しい人」だと表現した。

間違いない。考え方に正解や不正解などはないけど、この考え方すら私には合ってないのかもしれない。

でも、暖かいお日様の下で、愛犬がすやすやとお腹を上下させてるのを見ると思うんだよ。

この最上級の幸せすらいつか必ずなくなるのだから、幸せも不幸も全て一過性のものに過ぎないって。

人を妬むことも羨むことも、何の意味もなさない。

私は私が美しいと思ったものを見て、愛しいと思ったものに触れて、心地いいと思った場所に身を委ねればいい。悲しみも、怒りも全て歌にしてしまえばそれはもう尊いものになる。

その全てに満たされた私を表現したい。

自分で作った世界で1人で楽しそうに踊る私を、時折ガラスの向こうから楽しそうだなと見ててくれる人がいるだけで、私は確実にその時存在していた。

その証明がいずれまたなくなるとしても、それでいいんだよ。

私は確かにここにいた。

それだけで美しいじゃないか。

囚われていた君へ

寂しい私より

@akanenouta
夏の海底でピアノを弾き語る魂。 肉体は分離してどこかにいます。 誰宛でもない手紙をつらつらと書き綴ります。