私から見た『しずかなインターネット』

2023年、様々な新規サービスに触れた中で最も感動したのが『しずかなインターネット』だった。

今、私たちが愛したTwitterは日に日にひどく、つらい場所になっている。

この数年、私はSNSを「適度なつながりに戻す」アプローチがないか考えていた。そんな中突如として現れたのが『しずかなインターネット』だった。コンセプトも素晴らしいが、その実装の見事さに感動してしまった。運営しているのがZennに関わられていた方と聞いて納得。

ちなみに私が構想していた「適度なつながりに戻す」アプローチは新たなジャーナルアプリを作ることだった。Twitterの功績は「ツイート」という情報の粒度を規定したこと。URLや画像やメタデータを含められるこの情報粒度を、「自分の記録」として残すために使う。その中から他者に見せたい情報だけを公開する。この順序ならTwitter的文化のすべてを否定せずに「共有しすぎる世界」から現実的に離れていくことが可能なのではないか?というのが私の仮説だった。

例えばMemosはそのアイデアを見事に形にしているがあくまでローカルに立てるもので、Webサービスではなかった。AppleもiOSで「ジャーナル」Appを実装したが、iPhoneの利用履歴からのサジェストなど美点はあってもオープンなサービスではない。やはり「プライベートとパブリックを繋ぐサービス」であることが私にとっては重要なのだ。

そこで『しずかなインターネット』である。確かに情報粒度はツイートというよりもブログエントリーだし、人同士のつながりも私の理想よりも "弱すぎる" 気もするが、今のSNSの惨状を考えれば十分に現実的で、現時点で最も建設的な解である。

今後も私は毎日何かしらを書く場として『しずかなインターネット』を利用させていただくけれど、こことは別にオフィシャルなブログを近日中に立ち上げる予定。オフィシャルなブログではもう少しビジネスサイドの話を提供するメディアにして、ここではTwitter(今はX…でしたっけ?)で話しづらくなったくだらない話やアイデアの種を書き散らかす場所にしていきたい。

SNSの狂乱から一転、ふと我に返った私たちはサービス運営・利用両面から "うるさいインターネット" を少し静かにする工夫をしないといけないタイミングなんでしょう。

@akirafukuoka
福岡陽(akirafukuka) NTTコミュニケーションズ デザインスタジオ KOEL 所属 ntt.com/lp/koel ブランドストラテジストとして「善いブランドを創る」ためブランド/ストーリーテリング/デザインを扱う仕事をしています。