ストーリーテリングを扱うメディアを準備している中で言うのもなんだけど、最近は物語と同じくらい「気持ちよさ」の価値を見直してる。
そのきっかけは例によってスプラトゥーンだった。みんながぶーたれながら遊び続けているスプラトゥーンの面白さはどこからくるのか?と考えた時にふと「音の気持ちよさ」なんじゃないかと。スプラトゥーンは水鉄砲やバケツなどでインクを掛け合って戦うゲームなんだけど、効果音の気持ち良さは特筆すべきものがある。
上の動画は射撃音だけだけど、これに「インクのヒット音」「撃破音」「ボムの爆発音」などが組み合わさってさらに気持ちよさが加速しているように感じる。世の中にはFPS/TPSはじめさまざまなシューターゲームがあるけど、「打つ音」と「当たる音」両方から気持ちよさを演出するゲームというのはなかなかないんじゃないだろうか?
操作感
音以外にも「操作感」の気持ちよさもある。以下の私のツイートはピクセルリマスター版のFF5には原作にあった「コマンド操作の気持ちよさがないよね」という話。
ちょうど1月25日に発売された『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録』の制作者インタビューでも初代SFC版の操作感の気持ち良さに近づけるように拘った、というような話が出てきていた。
櫻井 あとは気持ちいいテンポで動けて、攻撃もリズミカルに行える、といった手触りの部分は何度も調整しました。移動速度についても、チーム内でさまざまな意見が出て検討を重ねた結果、オプションとして速度調整を採用することにしました。回復速度もそうですね。『5』の反省で、レベルが上がるにつれて相対的に回復速度も上がるようにしています。
篠崎 じつは今回の開発スタッフには、スーパーファミコン版から携わってきたベテランメンバーが多数参加しています。自分たちで「老兵だ!」なんて言っていますが(笑)。
シレン6が発売からさっそく盛り上がってるのは皆さんご存知の通り。
ストーリー
ストーリーにも「気持ちよさ」があると思う。SFC時代にFFの人気が加速していった本質は「気持ちよさ」にある気がしてきていて、FF16は「FFの良さって気持ちよさだよね!」ということに自覚的なゲームだったと思うんですよ。
FF16のストーリーは中盤まで本当に好きなんだけれど、バハムート戦以降は「気持ちよさ」がなくなっていく。ここ10年のFFはなんかストーリーの気持ちよさにあまり意識がいっていない気がします(と言いつつちゃんとやったのFF15と16くらいなんだけど)。特にエンディング、グッドエンドだろうとバッドエンドだろうと、もっと気持ちよくしてもバチは当たらないんじゃないだろうか。
ちょうど今日公開された、アンギャマン先生のインタビューでも読後感の気持ちよさについても触れられていたのを読んでこの文章を書き始めたんですが、1話完結の連載漫画なら尚更ですよね。
僕が漫画を作るうえで一番気にしているのは、読後感です。読んだあと、いい気持ちになってほしいなと思っていて。感動したり、いい気持ちになったりするのって、感情の起伏があるからじゃないですか。そうさせるには一度ストレスを作らなければいけないんですけど……実は、個人的にはそっちを描くほうが得意だと思っています(笑)。
言葉の響き
あとちょうどTwitterで見かけた『歌詞のサウンドテクスチャー うたをめぐる音声詞学論考』という歌詞の響きをテーマにした書籍もちょっと気になってます。
電子書籍がリリースされなさそうなので、買おうかどうか…
…と、だいぶ散文的な内容ですが、いろいろな「気持ちよさ」を考えた一時的なメモということで。