大阪に用事があった。ので、ついでに観光をすることにした。大阪に行くのは久しぶりだった。数年前にユニバに行った経験はあるのだが、テーマパークで遊んで帰ってくるだけで、大阪で遊んでいる感覚には全くならなかった。定員のお姉さんのイントネーションに違和感があったことだけが、その時感じた大阪らしさだった。
大阪は騒がしかった。とはいっても私が今回廻った場所はおおむね観光地で、行きかう人々は皆大阪の人ではないのだろう。でも、その騒がしさを許容する光景があるのが通天閣の下町、ジャンジャン横町ひいては新大阪だと思った。大きな光看板と同じく大きなモニュメント。感嘆してしまう。雰囲気にのまれてしまう。はしゃいでしまう。騒がしくなってしまう。通天閣の展示によれば、ここは元々遊園地だったと聞く。今もそうかもしれない。射的とかすごい数あったし。
その中で唯一静かで怖かったのは、スマートボールというレトロなパチンコみたいなもので遊べる店だ。玉とお菓子が交換できるというものだった。相場は玉50でアーモンドチョコ1箱。普段パチンコを打たない自分はこれが適正価格なのか判別はつかない。台が両側の壁に向かって1列ずつ、中央に2列向かい合う形で合計4列設置してありなかなかの数があるのだが、満席。そこに座る人の顔は真剣で、楽しそうに笑っている人はいない。まっすぐに繁体にむかっている。ゲームではなく、本当の賭博なんだと恐怖した。18歳未満は入店できません。手書きで自動ドアに貼ってある注意書きが生々しい。
おいしい思い出もある。ジャンジャン横町にある喫茶ニューワールドのミックスジュース。どろどろとしているが細いストローで簡単に飲めるほど良い濃厚さで、複数の果物の味を感じられる。なのにお互いの邪魔にならずおいしくまとめられているのが素晴らしい。大阪の名物がミックスジュースという事実に納得してなかったが、覆される味だった。次に大阪に来た時はミックスジュース巡りをしよう。
大阪駅の平らになるエスカレーター。鶴橋駅の商店街に組み込まれ、見上げると見える駅のホーム。地下鉄難波駅の美しい駅内。電車も地元とは大違いだった。上がるホームドアというものも初めて見た。何より、電車内もにぎやかだった。人が話をしているということではなく、車内アナウンスがひっきりなしに流れている。強制的に向かい合わせに座らせられる席もある。私も持っているおそろいのリュックサックとトラ柄のバッグを抱えているおばちゃんが目の前に座ったときはどこを見ればいいか、人見知りにはつらかった。
にぎやかだった。その土地のらしさというものは帰ってきてからのほうが真に感じることができるのかもしれない。この文章は私の静かな家の中で書いているので余計にそう思えるのかもしれない。