少し前まで、二番目の子が欲しくて欲しくてたまらなかった。
40代後半だというのに、ずっとずっと、心のどこかで「我が子に、弟か妹を作ってやりたい」と思っていた。常に頭にあったと思う。一般的に、もちろん「そんな高齢で無理でしょ」と言われているし、医学的にもほぼ可能性のないことは、じゅうじゅう承知のうえで、だ。
街中で二人兄妹、三人兄弟を見る度に、なんだか切ない気持ちになっていた。あの人は30代かな、そうだよね、私よりずいぶん若いよね。私は間もなく50代に突入するのだから、無理な願望だよね。でも、良いな~。欲しいな~。と、そんな気持ちになっていた。それを、ひた隠しにしていた。
夫は、というと、一人目で不妊治療であんなに大変な思いをしたのだから、一人で十分。一人生まれたのだって、奇跡的なのだから、お前は何を馬鹿なことを言っているんだ、という態度だった。
理性では私も分かっていたよ。高齢すぎて、無理なこと。奇跡的に授かっても、出産に至らないかもしれないこと。でも、心の奥底からむくむくと沸き上がる気持ち。押えられなかった。
人知れず、文字通り、一人でコツコツ妊活を続けていた。
有料アプリで排卵日を管理したり、排卵検査薬で、1日に数時間おきで、いつ排卵が起こるのかをチェックしたり。エックスデー(あと1日くらいで排卵)がやってくると、気もそぞろだった。だって、その気もない夫を、あたかも私が性欲にかられ、誘ってしまう、みたいなことを演じて、夫婦生活を持っていたからだ。
ほんと、今考えると、自分を傷めつけていたと思う。全然、したくもないのに誘い、そして、コトが終わると、なんだか心身ともにグッタリ。だったんだと思う。自分で自分を偽っていた、と思う。ほんと、自分に対して失礼だった。自分がどう思っているのか、感じているのかの感覚が鈍っていったのは、無理に妊活をしていたことが、大きな原因だったと思う。
あ。タイトルの「前ほどに嫌じゃなくなった」ことは、芸能人や周りの人の「二人目出産!」というニュースに対して、だ。
昨年末、夫がブチ切れ、大声で私を罵ったことが原因で、プチ別居に至ったのだが、そのことがきっかけで、私の人知れず抱いていた二人目妊娠願望は、終焉を迎えた。私には、二人目を授かる、ということは、もう別世界の話だ、と、ようやく理解できたのだと思う。
毎朝、死にたいと思っていた。「あ~、何もできずにまた一日年を取ってしまった」「妊娠できる体が、遠のいてしまった」などの想いからか、毎朝、苦しかった。その苦しみからは、解き放たれた気がする。