オススメされて映画「バービー」を観た話

akuta53
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 映画のバービーは、公開されてすぐキノコ雲だなんだと荒れていたのをうっすらと覚えている。その頃、マリオの実写映画も公開された頃で、子どもの頃に遊んだものたちが次々と映画化されていくのはまさに大映画化時代!

 と、こんな茶化した感じで興味はあまり持っていなかったのだが、友人から「映画のバービー良かった」と感想が来た。この友人は私同様好き嫌いが多く、好きが少ない面倒なタイプである。ただし、好きが少ない人間の「好き」や「良かった」は大抵面倒くさい性格の私にもヒットするということは過去の経験から知っていた。

 11月後半の魚座は私の愛読するしいたけ占いで「休む」ことを重視しろと言っていたので素直に休むようにしていた。特に予定のなかった勤労感謝の日に映画バービーを観ることにした。

 出だしから、インパクトの強い映画だった。確かにバービーが世の中に出るまでは赤ちゃんや子の人形でかわいい女の子の人形はなかったかもしれない。主に女児にとってバービー人形というのは革命的なもので、バービーの住むバービーランドは人間界の近くにあると言う設定。バービーは女の子に夢を与える存在として、バービーランドで毎日楽しく暮らしている。

 ある日バービーが変になってしまい「死」について考えたり、セルライトができてしまったりとお花畑思考でキラキラ楽しい毎日を送っているバービーがおかしくなっていく。それは持ち主に異変が起きているからだと、人間界に行くバービーという感じで話が進んでいく。

 バービーの話はよくある勧善懲悪とか子ども向けの上辺の綺麗なお話と思いきや、バービーは今流行の女性の社会進出について深く切り込んでいく。途中登場人物の母親は「女だからっていつも我慢させられてうんざりだ」と嘆く。私は旅行程度でしか外国に行ったことがないが、女性の社会進出が進んでいる欧米の女性も日本に住む女性と同じ悩みを抱えていることに衝撃を受けた。

 男が嫌なら女と付き合えとか言う人もいるが、そうじゃない。でも、性別で対立することもある。この抽象的で難しい問題を言語化している素晴らしい映画だった。いかにも男性というような活躍をしていない男性の悲しみも見えてきたりと、有色人種だからと肌の色で争う以前に性別で対立していることへの一つの答えのようなものがそこにあった。

 かなり社会的なメッセージやブラックジョークのようなものが混ざっているが、それでもバービーの公式であるマテル社とコラボして映画作品を作る自由のある国アメリカってすげぇな~、戦争勝てないわ。ちなみにこの映画監督は女性である。

 余談だが、バービー役のマーゴット・ロビーのチャーミングさとバービーの世界観の服を等身大の人間が着るのだが、それを着こなしているバービー達を観るだけでも楽しい。深く考えずとも楽しめる作品なので、年末年始にアマプラなんかで観るのもオススメだよ。