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データ・ドリブン・エコノミー

alesion30
·
公開:2026/9/16

最近は「AI」という言葉がバズワードのように飛び交っている。一昔前は「データドリブン」が同じくらい盛んに言われていた気がする。ただ、いわゆるAI時代になっても、データドリブンの重要さはむしろ増していると、この本を読んで改めて思った。

本書で言うデータ・ドリブン・エコノミーとは、リアルな世界から集めたデータが新しい価値を生み出し、企業・産業・社会を変えていく一連の経済活動のことだ。過去およそ20年のインターネットやスマホ、クラウドはデジタル革命の「助走期」にすぎず、これからデジタルが社会の隅々まで入り込む「飛翔期」に入る、という見立ては面白かった。GAFAが握ってきたのは主にWeb上のデータで、これからの主戦場は、まだデジタル化されていない現場のアナログなプロセスや物的資産から取れるリアルデータだ、という整理も、確かになってなった。

社会にデジタルを広げていくうえで大事なのは、現場でまだデータ化されていないものをどう取り出し、それらをどう組み合わせて価値を生むかを見極めることだと思う。データを取るコストは前より下がってきている。それでも、観察して状況に適応していくには、何をどう観察するか、つまりデータをどう取りに行くかが問われる。デジタル化そのものが目的になると、いわゆる「PoCの屍の山」になりやすい、という話も、自分の周りを見ても思い当たるところがある。

自分は技術者として仕事をするなかで、新しい技術を社会やビジネスにどう組み込むか、という技術ドリブンな視点で考えることが多かった。技術ドリブンは、これまで想像できなかった価値を生み出すうえでは強みになりうる。一方で、顧客がどんな体験をしていて、どこに課題を感じているのかを見極めたうえで、目的意識を持って課題解決に向き合うことも同じくらい大事だ。本書で出てくるデザイン思考は、まさにそのための考え方だなと思った。

ビジネスを売り込むには、現場に入り込んで顧客のニーズを掘り起こし、相手が納得できるストーリーをつくる必要がある。そしてデザイン思考を体現するサイクルとしては、計画ありきのPDCAよりも、状況を見て素早く決断・行動するOODAループの方が合っている、という指摘は、日々の仕事でも意識していきたいなってなった。観察→情勢判断→意思決定→行動のリズムを、もう少し意識してみたい。

個人的な話になるが、まずは自分自身のデータをちゃんと集めて活用したい、とも思っている。健康情報はGoogleヘルスなどで集め始めているし、財務情報はマネーフォワードに寄せている。ただ取り溜めるだけでは意味が薄い。それらを紐づけて使える形にし、AIエージェントからも読める基盤をつくること。直近ではMCPサーバを用意して、どのエージェントからでも出力・活用できるようにする取り組みを進めている。本書の「リアルデータを取り、組み合わせて価値にする」という話は、社会や産業の話であると同時に、自分の生活データの話としても読めた。

データをどうビジネスに生かすか、データサイエンスの側にも、もっと関心を深めていきたい。技術を追うことと、現場の観察から目的を立てることを、切り離さずにやっていきたい。