ふと図書館の技術書コーナーを眺めていたら、つい手にとって読み始めていた。

DeNAは就活時代、内定をもらったこともあり、多少の思い入れはある。DeNAのビジネスに惹かれたと言うより、エンジニアのマインドや技術力に惹かれ、最後まで内定承諾をするか悩んでいた。
ただ、この本のメインテーマであるWELQ事件のことは正直知らなかった。DeNAは当時、ゲームに代わる収益柱を作るために、キュレーションサイト事業を立ち上げ、DeNAパレットという多数のキュレーションサイトを展開するプラットフォームを構築した。しかし、これらのサイトの記事の大半が、パクリ記事であり、低品質で内容の正確性が担保されているようなものではなかった。とにかく、低単価でライターに記事を書かせ、文字数や関心を惹くキーワードを散りばめ、SEOで上位に上げ、PVをあげることで広告収入を得ると行ったビジネスモデルであった。その中のひとつのWELQという医療情報サイトが問題になった。特に問題になったのは、「死にたい」というワードに対して、検索トップにWELQの記事が表示され、その中身はキャリア診断サイトへ誘導するような内容だった。東京都が動き、法的に問題があるとして、WELQは閉鎖することになり、その他のサイトについても、閉鎖に追い込まれることになった。
この件で個人的に学びになったのは、KPIという分かりやすい数値目標を狂信し、エンドユーザーに与える価値を蔑ろにしてしまうが故に、社会通念上許されがたい行動を正当化してしまうことである。よりユーザーに広告を表示させ、タップさせることさえできれば、それが利益となる。広告の本来の目的とは、ユーザーが潜在的に求めているモノをマッチングさせることだと思っている。しかし、ユーザーの意思を無視し、広告だらけの質の低い記事が検索上位にでてきたり、広告の誤タップを狙うようなサイトが横行していると思う。正直、利益を出すためには効率が良い方法だし、利益を出すことが正義だととらえられている企業にとって、グレーゾーンかもしれないが効率よく利益を出す方法に手を出してしまうのもわかる。ただ、綺麗事に思われるかもしれないが、ユーザーが潜在的に求めている価値を提供し、喜んでくれた対価に対して利益を頂く。そんなサービスを作っていけるエンジニアになりたいな。
NETFLIXが提唱しているKPI管理は時代遅れというのはあながち間違いではないんだろうな。一見自社の利益を下げることになるが、Netflixはしばらく利用していないユーザーに対して解約を促してくれる。でもユーザー満足度が利益に繋がると信じているNetflixだからこそができ、実際に動画サブスクサービスで覇権を握っている。チャーンレートを下げるというKPIを持つ企業は、きっと解約に複雑なステップを踏ませたり、解約違約金を払わせたりするんだろうな。
次はぜひこの本を読みたい。