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家の購入&売却・賃貸・投資・相続…で損しない 得する不動産バイブル「ハンコ押す前に読む本」

alesion30
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公開:2026/9/5

著者の滝島一統さんのことは、YouTubeチャンネル「不動産Gメン滝島」を以前から見ており、知っていた。不動産業界の慣行や、物件を買うときに注意すべき点を、かなり率直に語っているチャンネルである。特に、ワンルーム投資の危うさを知ったのもこのチャンネルだった。

この本は本屋で偶然見かけた。図書館で検索すると所蔵があったので予約したが、手元に届くまでには2か月ほどかかった。それだけ関心を持つ人が多いテーマなのだと思う。

本書は、部屋を借りるところから、家を買うか借りるか、購入、建築、管理、売却、相続、不動産投資までを扱っている。不動産投資をする人や、これから家を買う人だけに向けた本ではない。誰もがどこかで家を借り、住み、場合によっては売却や相続に関わる。だからこそ、不動産の知識は一部の人だけのものではなく、生活していく上での基礎教養なのだと感じた。

自分は、いろいろな地域に住んでみたいという気持ちが強い。特定の地域に縛られたくないので、今のところは賃貸の方が自分に合っていると思っている。ただ、身の回りでは家を買う人が増えてきた。不動産価格は上がっているし、老後に家を借りづらくなるかもしれないという不安もある。何より、広い家に住めることには大きな魅力がある。購入をまったく考えたことがないわけではない。

一方で本書を読んで、家を買うことは想像以上に多くのリスクを引き受ける選択なのだと改めて感じた。ライフステージが変われば、必要な家の広さや立地も変わる。子どもの有無、仕事、親の介護など、数十年先の生活を正確に予測することは難しい。将来売る前提で買ったとしても、不動産価格が上がるとは限らない。価格が下がったとき、ローン残債より安い金額でしか売れなければ、多額の手出しをして売却することになる。さらに、地震や水害といった災害リスク、修繕積立金や管理費、固定資産税などもある。家を買うことには資産になる可能性や住環境を自分で選べる良さがある一方で、長い時間をかけて多くの不確実性を抱え込むことにもなる。住居であると同時に、大きな金額が動く資産でもあるからこそ、安易に「買った方が得」とは言えない。老後の賃貸不安についても考えさせられた。現状では高齢者への賃貸をためらう大家がいることは事実だと思う。ただ、これからさらに高齢化が進む中で、高齢者を一律に避け続けられるほど市場に余裕があるのだろうか。将来への不安を理由に、今の自分に合わない家を急いで買うのではなく、その時々の制度や市場、自分の状況を見ながら判断する方がよいのではないかと思った。

田舎では特に、家や車を買うことが当たり前のように扱われる場面がある。もちろん、その地域で暮らす上で合理的な選択であることも多い。しかし、周囲にとっての常識が、自分にとっても最適な答えとは限らない。家を買うか借りるかは、損得だけで決められるものではない。どこで、誰と、どのように暮らしたいのか。将来どれだけ選択肢を残しておきたいのか。その問いから考える必要がある。不動産の契約は、人生の中でも特に大きなお金が動く。だからこそ、周囲の空気や営業の勢いに流されて即断即決するのではなく、自分で考え、納得してハンコを押せるようになりたい。本書は、そのための判断材料を増やしてくれる一冊だった。