今日から9月になった。宇多田ヒカルのツアーも本日のKアリーナ横浜公演2日目で無事千秋楽を迎えたようなので、先日行った8/27の公演の感想について少しだけここに書き残しておこうと思う。宇多田ヒカルのライブは今回が初で、SNSでのネタバレはできるだけ回避しながら参加しました。
はじめに、これまで自分は宇多田ヒカルの熱心なファンというわけではなく、いわゆる人間活動前のアルバムが世代的に小学校～高校時代にほぼ重なっていて、周りも聞いてるという理由で一通り聞いてたという程度。復帰後についても自分が社会人数年目で音楽から離れていた時期で、その時はアルバムもちゃんとは聞かずじまい、だったと思う。それが自分の中で明確に変わったのは『BADモード』だった。コロナ禍の制限がまだ残る日々の中で楽曲の軽快さには多少救いを感じたし、個人的な宇多田ヒカルの再発見になった（2022年の個人的ベストアルバムでも1位に選びました）。それから過去作に触れていったところでデビュー25周年ツアーとベストアルバムが発表され、これはチャンスとチケットを申し込んだところ、本当に運よく当選することができた。ライブ当日までには台風の動きに気をもんだものの、何とか無事当日を迎えられた（本当に今年の夏は台風に翻弄されています…）。
まずはセットリストについて。冒頭「time will tell」（当時Automaticと両A面シングルだったらしい）で始まり、おおよそ過去から未来へと年代順に曲を演奏していき本編ラストは「君に夢中」で一旦締め。そしてアンコールで最新曲の「Electricity」からの最後は「Automatic」へ戻る、というのがまさに25周年のツアーにふさわしい流れでとても印象的だった。そんなに熱心なファンじゃなくてもほぼ全曲分かるというのは本当に凄いことだと思う。
その中でも本当にかっこよく、グッときたのは本編終盤に演奏された「One Last Kiss」だった。曲が始まった瞬間イントロのシンセサウンドにあわせて眩い光に包まれていく、そして歌唱が始まる瞬間にふっとスポットライトのみになり"初めてのルーブルは なんてことはなかったわ"の曲のヘッドラインとも言えるあのフレーズが放たれる、モニターにモノクロで宇多田ヒカルの姿が映し出される。ちょっとそのシーンは感動的で、鮮明に記憶に焼きついている。演出や音響もここ一番力が入っていたように感じられた。曲にあわせて忙しなく明滅する白いライトやモノクロの映像でつくられた世界の中で、カラフルな衣装に身を包んで歌う宇多田ヒカルは凄く映えていたし、Bメロから入ってくるキックの低音も特別出ていたように聞こえた。曲ラストで再びスポットライトのみに照らされた瞬間は美しく、自然と自分の中でその日一番の拍手と歓声を送っていた。
他には「DISTANCE - m-flo remix」～「traveling」はやはり強かった。宇多田ヒカルのライブって座って聞くんでしょ？みたいな勝手なイメージがあったけれど自分のいたスタンド上段でも周囲みんな立っての大盛り上がりだった。ここから会場の熱気も一段上がったように感じた。当たり前だけどコールアンドレスポンスもできるんだよな。ザ・平成って趣向のブラウン管テレビモチーフの演出も良かった。travelingイントロの”いま何しとん？”という関西弁も破壊力抜群だったよ…。
それから、中座前後の「誰かの願いが叶うころ」と「BADモード」～「あなた」の流れも良かった。"みんなの願いは同時には叶わない"なんてピアノとドラムバックに壮大に歌い上げられると、たしかにそうだよな...みたいなしんみり納得した気分になった（その気分のまま幕間の映像を見てたら意味不明さで情緒が破壊されたけど）。そしてそのムードを一気にひっくり返すBADモード～あなたの軽快さ。この辺りは人間活動前後のコントラストが強く感じ取れるなと思ったし、やはり生バンドで演奏されることの説得力が凄かった。
そしてラスト「Automatic」。一瞬暗転した後に照明がついたら宇多田ヒカルがあの黄色いソファに座っていて、PVのあれじゃん！！とテンションが上がった。はるか昔に見た覚えしかないけど、記憶には焼き付いてるもんだね。
あと今回のバンドメンバーにはJodi Millinerがいないんだな～と思って最初は見てたけど、ベースの人が終始ノリノリで、ぼくはくまで踊ってたのには笑ってしまった。後で見たらSeye Adelekan（最近のGorillazのツアーメンバー）だったらしいと聞いてびっくりした。この辺りは今度配信されるライブ映像でもう一度確認したいな。
とそういう感じで初めて宇多田ヒカルのライブを見てきました。25年が詰まったライブは最高だったし、何とか見に行くことができてよかった！まだまだ聞きたい曲はあったので、ぜひ30周年もよろしくお願いします。
最後に、ライブ終演後に公式から提供されていたプレイリストを貼っておきます。本当にありがとうございました。
ENCORE - HIKARU UTADA/AFTER THE SHOW
