久しぶりに小説を読んだ。ここ最近、自分の今後のキャリアについて思い悩む時間が増え、色々とググっていた際に見つけた本だった。
5篇の主人公の共通点は「キャリア志向の30代女性」。それ以外は、新しく課長に就任し奮闘する者、自身の今後に思い悩む独身女性、シングルマザーと様々だ。
正直、私は登場人物の年齢より若いし、物語の舞台も2000年代半ば頃だと推測され、登場人物たちに感情移入されてばかりというわけではなかった。この頃のような「キラキラOLライフ」を過ごしている(または、かつてその時代を過ごした)人は、今の2,30代にどれ程いるのだろうか。
しかし、「会社」という男社会であったものに女性が介入し対等に戦っていくのは、当時も今も何らかの障壁が伴う。いくら「男女平等」が謳われていたとしても。その最たる例が出産・育児(に伴うキャリア中断)だし、結婚や出産をしない選択肢を選んでも、それを「しない」ことによる悩みが出てくるのかもしれない。
そう。どんな選択肢を取ったとしても、悩みは尽きないのである。
本作で最も印象に残った場面を下に引用する。結婚を始めとした今後の人生に焦りを感じる由紀子(32歳・独身)が、高校の同窓会の帰りに同級生(主婦)から「(由紀子らの未婚女性陣が)バリバリ働いて社会と関わっているのを聞くと、焦ってブルーになっちゃう」といった趣旨の発言を受けての言葉である。
「ねえ。うちらだってブルーだよ」由紀子が言った。「いつまでこういう生活してていいのかわからないし、自由なんて不便なことばっかだし」勝手に言葉が口をついて出た。「だいいち、若さなんて永遠じゃないじゃない。焦ってるのはこっちだよ」
「そうなの?」
「そうよ。きっとみんな焦ってるし、人生の半分はブルーだよ。既婚でも、独身でも、子供がいてもいなくても」
「うん。ありがとう」元クラス委員が微笑んでうなずく。
「お礼を言うのはこっち」
車がホームに入ってきて、乗客が吐き出される。人ごみが押し寄せ、離れ離れになった。「またね」手を振って別れの挨拶をする。
由紀子は車両に乗り込んだ。半分はブルー、か。口の中でひとりごとを言う。
女は生きにくいと思った。どんな道を選んでも、ちがう道があったのではと思えてくる。
(『ガール』p.176-177)
そうだよなぁ。みんな焦ってるよなぁ。
私自身もつい最近結婚し、周囲から多くの祝福の言葉を受けたとは言え、既に同期(私以外は男性)とは差がつけられ始めているような気がするし、今後もし出産・育児を行えばその溝がどんどん大きくなっていくのでは…と、ブルーになる瞬間が結構ある。それ以外にも、そもそも今の仕事合ってないんじゃ…とか、転職したいけど結婚式のお金の工面とか休暇とかが…とか、悩みが尽きない。
仕事についての話は、また機会があれば書こうと思う。