普段、全く読まないジャンルのホラー。全くではないか。去年『近畿地方のある場所について』をネットで読んでたわ。かなり前に『ぼっけえ、きょうてえ』も読んだことがある。今回の『かわいそ笑』はモキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)で『近畿地方のある場所について』と似た形式になっている。小さな怪異を一つひとつ語っていくという手法も大体同じ(だと個人的には思う。違ってたらごめんなさい)。
本を読んでいる間、得体の知れない恐怖にずっとまとわりつかれているような感覚だった。部屋で一人で読んでいるとじわじわと怖くなってくるのでテレビをつけっぱなしにしておいた。読み進めることができないくらい「めちゃくちゃ怖い」というわけではないのだが、とにかく嫌な雰囲気が漂っている。2000年代初めの同人活動や掲示板などのネット文化がベースになっており、そういうことに詳しい方はより身近な恐怖を感じることができるのではないだろうか。私はそこらへんの解像度が低いので薄い膜を一枚隔てた感じの怖さだった。
人間にとって「わからないこと」自体が恐怖なので、それなりの(明確ではない)答えが出る最終章より、そこに辿り着くまでの過程の方が怖かったと思う。あとは筆者の視点で書かれた文章がやや不安定な印象。違和感や不気味さの演出、あるいは筆者の困惑の表現、モキュメンタリーなのでリアルさを出すためにわざとそういう書き方をしているのだろうと思うけど。たぶん。
今週はずっと雨が続くらしくて憂鬱。というかホラーの感想が「怖い」の一辺倒で自分の感性と語彙力の無さに絶望です。それが何よりの恐怖じゃね?