日本では子の誕生まで十月十日で数える慣わしがあるが、実際には40週0日が出産予定日となる。今回は8月21日(4週5日目)に陽性反応があり我が子の誕生日は2024年4月24日が予定日となるが、実際には帝王切開で生まれるためその2週間前くらいの4月10日が誕生日となりそうだ。
そこまでの長いようで、短かった妊娠生活を振り返る。胎児をヒトに育てるまでの過程は自分の人生と健康をかけた営みだった。
※長いので酒を片手に読んでほしい
妊娠2カ月目:壮絶な悪阻とカフェイン禁断症状の頭痛
妊娠がわかってから基礎体温が上昇し、常に熱っぽくだるい日々から始まった。その数週間後に壮絶な悪阻とカフェイン禁断症状の激しい頭痛に見舞われた。
妊娠前のルーティンとして1日に3、4杯程度のコーヒーをオフィスで飲んでいた。妊娠後は胎児に悪影響が出る為ほぼ全てのカフェインを抜いた結果激しい頭痛を起こしたのだが、これが悪阻とともにダブルパンチになる。仕事はままならないし、食事もできない。
悪阻の時期は1日シャインマスカット数個を食べて自分と我が子の命をつないでいた。フルーツ以外の全ての食事を受け付けなくなったが、この時期は胎盤を通じての栄養ではなく母体本体が蓄えた栄養を摂り育つため自分が食べられなくても問題はない。脱水症状にならないよう水分だけはたくさん飲む。
我が子もパートナーの妊娠がわかったら、まずは食べられるものを確認し、その食材たちを切らさないよう冷蔵庫を満たしてあげよう。高級なフルーツは唯一テンションが上がる要素である🍇
妊娠は病気ではないが病気と同等に辛いので、要望はできるだけ受け入れ環境を整えてあげてほしい。新しい命を自らの身体の中で創り上げることは思っている以上に大変な作業である。
ピタッと止まった悪阻による壮絶な不安
9月に入り、あれだけ辛かった悪阻がピタッとなくなった…悪阻があったのは2週間程度。そして爆発する食欲。正直もう流産してしまったのではと覚悟した。
この時期はとにかく不安が大きく、次の検診で心拍が確認されるまで流産の覚悟をしながらクリニックに行っていた。3カ月目以降も検診に行き心拍を確認してやっと安心する、という繰り返しの日々だった。
5週5日。まだちょこーんと腹の中にいるだけ。大きさ2cmの胎嚢だけが目視できる。
クリニックで超音波検診を行い、ちゃんと生きていることを目視して安心する。2カ月目の我が子はまだ小さいが心拍はしっかりと聞こえているの、本当に神秘だ。信じられない。
仕事では、8月、9月はiOSDCやDroidKaigiといったテックカンファレンスが立て続けに開催される多忙な時期であり、一年の中で最も疲弊する重労働期間だ。とはいえチームメイトに妊娠について伝えるには早すぎるため、安静にしてなければならい時期ではあったものの結構アグレッシブに動いていた。チームメイトが2名もいてくれた結果スムーズにカンファレンス協賛を回すことができたので、本当に感謝している。そして耐えてくれた我が子にも感謝。
7週5日
3カ月目:東大病院での妊婦健診スタート
9月25日に妊婦健診の初診。この時期も不安をもちながら向かい、心拍が確認できると安心する日々は続いていた。安定期に入るまではとにかく不安が大きいので、我が子もパートナーの不安を受け止め、安定期に入るまでは何が起きてもおかしくないという意識を持ち毎日を過ごしてほしい。
この時期の妊婦検診は4週間毎がデフォルトであるが、微量な出血やお腹の痛みなどが多かったので2、3週間毎に検診に行っていた。いま思い返すと逆に2週間毎に生存確認ができていたことによって心の平穏が保たれていたのではと思う。
9週5日。初診
まんまる単細胞のような形から、ヒトの形になってきている‼︎‼︎‼️とめちゃくちゃ感動した。胎芽から『胎児』へと成長した。現在3cm程度なので、ぶどう一粒程度の大きさだが、頭と胴体だけではなく足があり非常にヒトらしさを見せている。
小さく足も見える。
12週5日。健診2回目
3週間でさらにヒトらしくなってきている。二頭身の人形のようだが、うっすらと耳や鼻らしき面影がでてきている。細胞は心臓や皮膚など、様々な形にもなれる受精胚にさらに感動する。今でこそ55cmの身長になった我が子も、最初はこんなに小さな小さな粘土人形みたいな子だったのかと、見返すと感慨深い(この記事は出産後に執筆している)
この時期は頭痛が酷い日も多かったため、最高容量のカロナールを処方してもらった。しかしながらロキソニンに慣れ親しんでいる身体ではカロナールはほぼ効かなかった。我が子もパートナーが頭痛持ちだった場合、薬が効かない辛い状態であるので家事を全て担当してあげよう。そしてこの時期も高級フルーツを買ってくると喜ばれるので忘れずに🍓
4カ月目。安定期突入、さらに爆増する食欲
最も流産が多いと言われる妊娠初期を突破したので、家族や知人に妊娠の報告を始める。社内の人からは『酒を飲まなくなってなんとなく察していた』と言われ、禁酒で妊娠を悟られていたw まずは安定期に入ったことを喜ぶが、このあと6カ月安静にして無事に我が子をshipしなければならないので気は抜けない。
13週5日。夜間診療
腹痛がつらく、急遽受診。エコー写真で背骨がこんなにもはっきりと見えるのか。今後の体重予測は大腿骨の長さや頭の大きさ、胴体の大きさで計算していくらしい。下の写真は心拍の状態。超音波検査で心音を聞いた時は思わず涙がでた。やっと自分の体内で新しい命を育てている実感が湧いた瞬間だった。
14週5日。健診3回目
順調に大きくなっていく我が子。それ自体はとてもいいことなのだが、毎度妊婦健診は3時間程度の待ち時間が発生し疲弊していく。予約時間とは…?あまりにも診察に呼ばれる時間が遅かった為なぜここまで診察時間がズレるのか質問をしたところ、医師不足もあるが外来患者だけではなく入院患者も診ているとのこと。入院患者に急変があった場合外来がストップするため、さらに診察が遅れてしまうという負のループが発生していた。それはもう仕方ない…医師が倒れる前に、医師の採用活動頑張ってほしい。
この時期はバーガーマニアのパストラミビーフサンドを大量に食してしまい、あとから禁止食材だったことに気づき不安が大きかった。しっかりと火を入れていない肉はトキソプラズマという寄生性原生生物の感染に繋がるため禁忌とされている。のちに再検査を行い陰性であることを確認する。ウェルダンのステーキは美味しくない。早くミディアムレアで食べたい。我が子もパートナーが出産したら、美味しい食事を食べにいける時間を作ってあげてほしい(出産後の時間の作り方は出産後2ヶ月くらいの記事にて詳細を執筆予定)
窮屈そうな写真だな。窒息しそうだなと一瞬思ったが、そもそも胎児は肺呼吸してないことを思い出したw
5ヶ月目。性別が判明する
18週5日 健診4回目
ついに性別が判明した。男の子である。下記写真に写っている睾丸らしきもので9割方男の子だとわかるらしい。たしかに言われてみたらそう見える。
どちらの性別でも嬉しいと思っていたが、自分自身が家の跡継であることから漠然と男の子だといいなと思っていたのは事実だ。令和の時代でも女性が家を継ぐことはメジャーではない。実際に自分が跡を継ぎパートナーに婿入りしてもらったという話を周りにすると肌感覚9割以上の人から驚かれたし若干苦労もした。我が子が他家に婿入りする可能性もあるが、できたら470年ほど続く我が家を継いでもらえると嬉しい。実家にある家系図らしきものには、最初のご先祖さまが天文17年死去された記録が残っている。戦国時代から続く長い歴史を後世へと繋げたい気持ちはある。
この時期の体調としては子宮収縮が起きている関係か下腹部がチクチクすることが多くなっていたが、健診結果は問題なし。この週はうつ伏せになって寝ていた。
6ヶ月目。ついに胎動を感じる
2023年12月10日。それはいきなりやってきた。この時期は胃と腸の調子が悪いのか、お腹がぐるぐるとなるようになっていた。この日は友人たちと銀座でランチをする予定があり、胎動はまだないんだよねという話をしていた。
早い人では12週から胎動を感じるようになるらしいが、我が子は全くといっていいほど動かない。それもあり毎回検診にいくまで生きているかどうか不安になりながら病院に向かっている状態だった。
帰路についた時にまたお腹の調子が悪くなっていた。そして寝ようとおもった瞬間『ポコッ』とお腹が動いたように感じた。
『アッ!!!もしかしてこれお腹の調子が悪かったのではなく、胎動だったのか!!』と気づく。
ドラマでよく見る『あ…!いま、赤ちゃんが動いた…!』というような第一印象ではなく、『腹の調子悪いわ。下痢か?』という感動もへったくれもなく、なんとも自分らしい胎動の感じ方であったw
最初はポコポコといった感じの胎動だったが、7ヶ月目には魚がビチビチ!とはねるような胎動に変化していった。まだ運動神経さえなさそうな胎児がそんなに俊敏にうごける?もっと胎動はゆっくりとぐいー!と感じるものだと思っていたあ、そうではなかった。人間って面白い。
7ヶ月目に突入、どんどん大きくなっていく腹
24週2日 健診6回目
どんどん大きくなる我が子。頭蓋骨がまんまるで美しい。帝王切開で生まれるメリットとして頭の形がとても美しく産んであげられることだとおもう。(現在は生まれてからひたすら右に向く癖があり、せっかくのまんまるから歪みが出始めている。もったいない)そして胎動を感じるようになってからの安心感はすごい。
26週2日 健診7回目
もはや大きくなりすぎて全身がエコーで映らなくなった我が子。現在推定体重968g。超低出生体重児の域に入ってきた。まだまだ元気にお腹の中にいてくれよな。変わらずすくすくと成長をとげている。頭痛がまたひどくなってきた時期ではあったが、会社のみんなの協力のもとゆっくりとすごしていた。
仕事
きたる産休突入まで残り3ヶ月を切ったため、ひたすらにマニュアルを書き残す日々を送っていた。自分が築き上げた採用ノウハウがあまりにもマニアックすぎて全部を書き切るのは無理だなと悟る。2018年から6年間、全然成果残せなかったなという気持ちがあったが、いろいろやってきたんだな。
女性にとって出産はキャリアが断絶するため、非常に不安が大きい。育児と両立しながら自分の自己実現するためにはどうしていけばいいのかと悩むことが多いので、我が子もパートナーのキャリアを考えた家庭設計をしてほしい。お互いに自己実現のために働き、楽しく仕事をしながら家族経営という重要なプロジェクトを協力しながら推し進めてほしい。
専業主婦を否定するつもりは全くないが、お互いに金銭の自由があったほうが心の自由に繋がると信じているし、仕事を通じて自分の人生を豊かにしていけると個人的には思っている。
一番右は太ももの大腿骨。この長さで推定体重を出していた。
やっと7ヶ月目まで書き切ったぜ!すでに生後89日目だが。
続く