14. 教えるより教わるのがじょうず

アマヤドリ
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何かを習うときはこの人ぞと思う人の側にくっついておく。その人がやることをよく観察し、できる時にはそのまま真似をする。作業している手つき、道具の持ち方、対象物との距離、支え手はどこにあるか、重心はどこにあるか、どのくらいの軽さで、粘りで、早さでそれをやっているか。視線はどこか。どんな音をさせているか。

要するに覚えたいし興味深いからなるべく近くで見たいというだけなのだけど、時々覗き込みすぎて猫みたいに教える人の視線を遮り、手に鼻息をかけてしまう。

メモはそんなにとらない。体で追っていればその道のりの理由がわかるから。質問はいったん飲み込んで、再登場の機会があれば適宜する。周りの人がどのくらい理解しているかもいつのまにか把握している。手順を見逃していそうな人がいればさりげなく質問する。自分の復習にもなる。

その後ひたすら実践するのが好き。あの動き、あの体と自分が重なるまで。徐々に動きが自分のものになってゆくけど、ひとりよがりにならないようたびたび焼き付けたイメージに戻り、慣れ、慣れから離れ、……多くのことはここまで。踊りだともっと遠くまで行く。

説明を受けてる時、実際に体を動かすことができなければ濃くイメージするだけでいい。表面は動いてなくても体の奥の方で実践する。イメージトレーニングって鼻歌にちょっと似てる。頭の中には鳴り響いているのに口は動いてない。

小さい時、鼻歌は他の人には聞こえていないと思っていた。だって口を閉じているから。